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ペニスーツマン VS 仮面ライダー鎧武

 風光明媚なる自然が育まれた名も無き惑星にて『始まりの男』葛葉紘汰は佇んでいた。輝くような金髪、翠と朱のオッドアイ、そして銀色の鎧を身に纏うその姿はコスプレではなく、『黄金の果実』を口にし神そのものへ生まれ変わった葛葉紘汰の新たな姿であった。
 一切の生命が存在しない死の惑星の開拓がひと段落つき、紘汰は生まれ変わった自らの星を眺めていた。
「ようやくヘルヘイム以外の植物が生まれた。魚や虫も、この調子なら生まれるかな……」
 感慨深く呟きながら空を仰ぐ紘汰の瞳に、奇妙なシルエットが映り込む。
何の前触れもなく発生した歪んだオーロラのような光から、スーツ姿の男が空中に出現したのである。
 男は空を切り落下していき、紘汰の眼前へ優雅に舞い降りた。
 葛葉紘汰と高司舞、二人の神が管理している惑星にこのような生物は存在しない。
 警戒心を露わに睨む紘汰を気にせずに、スーツ姿の男は口を開いた。
PM2.5を吸いまくって肺を鍛えるしかない」
「なっ!? 失礼だなっ! この惑星は植物が生まれたばっかなんだぞ! 公害なんてあるわけないだろうが!」
 創造主として舞と共に世界を創りあげてきた努力を踏み躙るような言葉に、紘汰は怒りを感じていた。
「わかる(わかる)」
「あ、あぁ……? わかればいいけど……」
 突如、言葉を翻した男に、紘汰は怪訝な表情となる。
 改めて眼前の男を観察すると、紘汰は男が醸し出す尋常ならぬ雰囲気を感じ取った。 その男の瞳には『虚無』が秘められていた。
 その表情は難問に挑み続ける哲学者のように苦悩に満ちているようで
 また単位を修得できずに留年が決まった大学生のような絶望を秘めて
 はたまたFXで有り金全部溶かす人の顔のようでもあった。
「お前は……何者なんだ?」
 男が醸し出す『虚無』は、アーマードライダーとして数多くのライダーやインベス、そして超越者たるオーバーロード達と戦い抜いてきた紘汰にさえ、得体の知れない悍ましさを感じさせた。
「坂上逆孤(さかのうえさかこ)と申しまする」
「葛葉紘汰だ…もう一度聞くぞ。お前は何者で、どんな目的でこの星に来たんだ?」
警戒を続けながらも対話を試みようとした紘汰だが、突如その表情は驚愕に染まった。
『虚無』に満ちていた坂上の瞳に熱が灯ったからである。
 情熱を込めた視線の先には、花畑で戯れているインベスの群があった。
 坂上はその中でも青色の外骨格が特徴的な『カミキリインベス』をハァハァと息を荒らげながらを凝視していた。股間はスラックス越しでも明確に見て取れる程にいきり勃っている。
 (こいつ……インベスに欲情しているのかっ!?)
 不快感に顔を歪ませながら、紘汰は考える。
 元よりインベスとは人々に牙を剥く存在であった。その正体はヘルヘイムの森の果実 には生物であり、中には人間から変態したインベスも存在する。
 しかしながら……
 この世界の創造主として、紘汰はこの惑星で暮らす生命を害する存在を許す訳にはいかなかった。
「ゴムゴムのしょかさんをイカせ隊!」
「この惑星を汚す奴は許せねぇ……!」
 紘汰と坂上は静かに睨み合う。
 やがて紘汰は戦極ドライバーを腰に出現させ、相対する坂上は己の逸物をぼろんと出した。
「お前は……オーバーロードだったのかっ!?」
 坂上の逸物には光り輝く『黄金の果実』が埋め込まれていた。
 坂上もまたヘルヘイムの森の侵食を乗り越えた超越者であると、紘汰は確信した。
フルーツバスケット!』
 極ロックシードを起動させた瞬間、オレンジ、バナナ、ブドウ、マツボックリ、ドングリ、ドリアン、クルミ、レモンエナジー、チェリーエナジー、ピーチエナジー、メロンエナジー、合計11種の鎧(アームズ)が紘汰を取り囲むように出現した。
『ロックオープン!!極アームズ!! 大・大・大・大・大将軍!!』
 極ロックシードをカチドキロックシードのロックスリットへ差し込むと、11種の鎧が掻き混ぜられるように融合し、一つの銀色の鎧として紘汰の身体へ装着された。
「俺達の新しいステージを汚す奴は絶対に許せねぇ!」
 仮面ライダー鎧武・極アームズへ変身を遂げた紘汰が威風堂々と宣言した。
「変身」
 坂上の逸物が神々しい光を放った。
 やがてヘルヘイムの植物に全身を覆われ、その姿が異形へ変貌していく。
 身体には変化は見られず、依然きっちりとしたスーツが着込まれていた。
 しかしながら……その頭部が陰茎というか男性器というか亀の頭のような形状へ変化していたのである。
「ペニス―ツマン、爆現」
 変身を遂げた超越者二人が向かい合い、一陣の風が両者の間に巻き起こった。
「紘汰っ!? ソレは、何者なの……!?」
 騒動を聞き駆けつけた『始まりの女』高司舞が、不安気な声を漏らした。
「離れてろ、舞。新しいオーバーロードだ。この惑星を侵略するつもりかもしれねぇ」
 紘汰の言葉を受け、舞は静かにインベス達を誘導し避難させていった。
「下半身がエレクトリカルパレードになってきたので僕はもう駄目かもしれません……」
 テンションが落ちた声音で、ペニスーツマンが呟いた。ビンビンとなっていた頭部も若干元気を失っている。
 その視線?の先には、『始まりの女』高司舞が居た。顔立ちは整っているものの、あまりにも似合わない金髪にショックを受けたのかもしれない。
「なんか凄く失礼なことを思われた気がする……紘汰っ! 徹底的にやっちゃって!」
「言われなくても!」
『無双セイバー』『大橙丸』
 極アームズは全てのアームズウェポンを召喚する能力を有する。
 鎧武は極ロックシードを起動させ、最も使い慣れた二つの武器を呼び出した。
「ハァッ!セィッ!」
 高い切れ味を誇る無双セイバーのハモンエッジが、物質の科学結合に作用する大橙丸のカヒノジンが、容赦なくペニスーツマンを斬り刻む。
 荒々しくも力強い鎧武の二刀剣戟は、ペニスーツマンに反撃の隙を一切与えなかった。
「げんきぃ……」
 ペニスーツマンは曖昧を漏らすのみで、鎧武が剣戟に怯んでいる様子はない。
『マンゴーパニッシャー
 ペニスーツマンの佇まいに不気味を感じながらも、鎧武は新たなるアームズウェポンを召喚した。
 大人数人がかりでも持ち上げることが出来ないほどの重量を誇るメイスを、鎧武は軽々と振り回しペニスーツマンの亀頭へと叩き込んだ。
「セィイ!ドォリァ!」
 同時に撃ち出した『パニッシュマニッシュ』のエネルギー弾がペニスーツマンを遥か遠くの浮島へと吹き飛ばした。
『黄金の果実』を口にした紘汰は、人知を超えた力を宿している。鎧武はさも当然のように宙に浮き、浮島へ向けて飛び立った。
 鎧武は浮島の大樹の根元で蹲っているペニスーツマンを発見した。
「最近は社会にも親にもオタクにも風邪にも負けまくってるので全くいいところがない……」
 プルプルと全身を震わせながら、ペニスーツマンはまたもや曖昧な言葉を発していた。
「こいつ、あんなふざけた見かけなのに何て頑丈なんだ……」
 確かな手応えを感じた鎧武だったが、ペニスーツマンは殆どの外傷を負ってなかった。
 鎧武が次の一手を考えている最中、ペニスーツマンは徐にその頭部をギンギンにいきり勃たせた。
「欲望の雨だ……『スペルマ流星群』のバリエーション……『プラネット・レイプ』!」
 ペニス―ツマンはその頭頂部から白濁の玉を遥か天空まで打ち上げた。
 やがて成層圏程の高さまで打ち上がった白濁の玉が眩い大爆発を起こした。
 そして……大陸全土を塗りつぶすかのような精液の豪雨が惑星に降り注がれた。
「ふざけるなっ! 俺達の惑星は、絶対に汚させやしないっ!!」
 鎧武が空を仰ぎ両腕を翳すと、何もなかったはずの空間に大きな亀裂が出現した。
 オーバーロードの力を用い展開した数多の『クラック』は、惑星を妊娠させうる程の量の精液を吸い込み亜空間の彼方へと消し飛ばした。
「にゃー!」
『メロンディフェンダー』『ブドウ龍砲』
 ペニスーツマンが高圧水流の如き勢いで飛ばした射精後の小便をメロンディフェンダーで防ぎながら、鎧武がブドウ龍砲を乱射する。
「ハッカドール4号の喋り方Syamu_gameさんに似てる……」
 全身に弾丸を浴びながら、ペニスーツマンはクネクネと体をよじりながら意味不明な言葉を並び立てていた。
「ウォリィャァ!! まとめて喰らいやがれ!」
『イチゴクナイ』『パインアイアン』『ドリノコ』『ドンカチ』『キウイ撃輪』
 極ロックシードを何度も起動させ、鎧武は大量のアームズウェポンを虚空より射出した。
「何のぉ、『包茎モード』!」
 複数のアームズウェポンによる襲撃を、ペニスーツマンは頭部の皮を引っ張り上げ防壁とすることで凌ごうとしていた。
 しかし……
「うぐぐ……足腰がバキバキになっとる……」
 当然効果は申し訳程度しかなく、ペニスーツマンは全身に擦過傷を負っていた。
 鎧武のパルプアイが怪しく煌めくと、堪らず逃げようとしたペニスーツマンの足元を蔦が絡め取った。オーバーロードが有するヘルヘイムの植物を操る能力を用いて、ペニスーツマンの逃げ道を塞いだのである。
「ならば……にゃんにゃかにゅんっ!」
 不可思議な言葉と共に、ペニス―ツマンの全身が金色の光に包まれていく。
 ペニスーツマンは、全ての能力が893倍に増幅される怒りのハイパーモードへと変貌した。代償として前立腺の感度が334倍になってまうという欠点も持つ、諸刃の剣ともいうべき姿で勝負に打ったのである。
『無双セイバー』『火縄大橙DJ銃』
 無双セイバーが差し込まれた火縄大橙DJ銃大剣モードを呼び出し、鎧武はドライバーのカッティングブレードを勢いよく倒した。
『ソイヤッ!』『極オーレ!』
 戦極ドライバーより軽快な音声が鳴り響き、火縄大橙DJ銃の刀身に虹色の光が満ちていく。
「ウォリィヤァ!!!」
 やがて鎧武は一振りと共に、数多のロックシードのエネルギーを込めた斬撃『火縄大橙無双斬』を撃ち放った。
「むんっ!『ハイメガザーメン砲』!」

 ペニス―ツマンの頭頂部より瀑布の如き精液を放射された。
 通常の893倍に増幅されたペニス―ツマンの十八番『ハイメガザーメン砲』であるが、此度の射精は幾分か威力が落ちていた。
 星一つ覆い尽くす程の莫大なる精液を要する大技『プラネット・レイプ』を射精した後では、さしものペニス―ツマンであれど種切れ状態であったのだ。
『火縄大橙無双斬』が『ハイメガザーメン砲』を切り裂き押し寄せる。
 絶体絶命と思われたその時、ペニス―ツマンの瞳?が一つの希望を捉えた。
『カミキリインベス』の群れが、大樹の上で身を寄せ合いながら両者の戦いを見守っていたのである。
 虫の類に欲情する性癖を持つペニス―ツマンは極上のオカズを視界に収め、頭頂部をビンビンに勃起させた。
「ぬぁぁぁぁん!『インセクト・エジャキュエーション』」
 噴射されたザーメンの激流が『火縄大橙無双斬』を呑み込み、ペニス―ツマンの眼前の一切を白濁に染め上げた。
 鎧武は精液の激流に押し流され、やがて咽かえるような臭いに耐え切れず意識を手放した。

 ☆☆☆

「紘汰っ!お願い、しっかりして!」
 舞の悲痛な声を受け、紘汰は目を覚ました。
「俺は、負けたのか……?」
 精液でベトベトになっている鎧を拭いながら、紘汰が呟いた。
「ううん……あの後アイツは、『頭痛で力がでない』とか言いながら逃げていったの。だから、もう危機は去ったんだよ」
「そう……なのか……?」
 紘汰は仮面ライダー鎧武としての武力とオーバーロードとして有する超常的な能力の限りを尽くしてペニス―ツマンと戦い抜いた。
 それでも、最後まであの亀頭男に翻弄され続けたという実感がどうしてもぬぐえなかった。
 深刻な表情で黙り込む紘汰へと、若干躊躇しながら舞が口を開く。
「それでね……アイツが逃げるときに、インベスが一匹、お持ち帰りされちゃったの……あの青い虫みたなタイプのインベスを……ゴメンなさい、わたし、止められなかった」
「そうか……くそぅ!」
 紘汰はダンっ!と地面を殴りつけながら、自らの不甲斐なさを呪った。
 この惑星で平和に暮らす無垢なる生命を守れなくて何が『神』なのか。
 後悔を胸に秘めながら、紘汰は再び自らの星を眺めた。
「小便だの精液だの遠慮なしに巻き散らかしやがって……汚ったねぇ野郎だ」
「また二人で綺麗にしていこう。何もない死の惑星だったこの星を、ここまで開拓できたんだもん。あんな変態を鼻で笑えるくらい、綺麗な星にしてやろうよ!」
「そうだな……俺達のステージはまだ終わっちゃいねぇ!」
 新たな決意を胸に、仮面ライダー鎧武 葛葉紘汰が自らの惑星へ宣言した。

 ☆☆☆

 哲学する男性器ペニス―ツマン
 いくつもの世界を周り、その瞳は何を見る?