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ペニス―ツマン VS 2016年春アニメキャラ その1

「二番砲右! 攻撃始め!」
 陽炎型航洋直接教育艦「晴風」の艦長兼クラス委員長、岬明乃(みさきあけの)が凛然とした声で号令を下した。
「Oui」
 無口な砲術長、立石志摩(たていししま)が短く返答する。
 同時に、5インチ単装砲が火を噴き、砲弾が標的へと叩き込まれた。
「晴風」が交戦している相手は、艦船ではなかった。
 あろうことか、『龍』のような生物と明乃達は対峙していた。
 その生物は、異なる世界では『インベス』と呼ばれる、異形の侵略者であった。
「標的に命中! 海面に墜落した後に行動停止を確認!」
「取舵いっぱい! 第四船速で距離をとって!」
 見張員、野間マチコの報告を受け、明乃が更なる指示を飛ばしていく。
 艦橋要員達は、緊張感に包まれながら経過を見守っていた。
 気弱な航海長、知床鈴(しれとこりん)が涙目で操舵輪を握り、舵を取る。
 普段は騒がしい水雷長、西崎芽依(いりざきめい)すらも、軽口を叩かずに押し黙っていた。
「ココちゃん、何か新しい情報は見つかった? 今は、情報が少なすぎるから、どんな些細なことでもいいから報告してほしいの」
「ええぃ! 連邦軍モビルスーツは化け物か! これだけの攻撃でも……」
「ココちゃん」
 一人芝居を始めようとする記録員、納沙幸子(のさこうこ)を明乃は一声で諫めた。
 身を縮ませながら、幸子は愛用のタブレットを手前に突き出す。
 画面には「検索結果なし」という、虚しいメッセージが表示されていた。
「すみません……様々な方面から検索をしているんですが……」
「……そっか。引き続き情報を集めて。何か新しいことがわかったら報告してね」
 言いながら、明乃は先ほど遭遇した未知の生物について考察していく。
 明乃を筆頭とした「晴風」クルーは、『RATtウイルス』が引き起こした騒動に巻き込まれた。彼女達はときに対立し、ときには助け合い、絆を深めながら、事態を解決に導いたのである。
 明乃達が異常事態に対応できたのは、『RATtウイルス』騒動を乗り越え培ってきた経験によるものが大きいだろう。
「アレは生物兵器……だったのかな? このあたりは美波さんに聞いてみないとわからないけど……」
「艦長! 非常事態ですっ!」
 明乃の思考を、慌ただしく艦橋へ雪崩れこんできた不幸体質の副長、宗谷ましろが打ち切った。
「シロちゃん!? どうしたの?」
「先ほど遭遇した生物が、突如甲板に現れました……それで……それで……」
「落ち着いて。ゆっくりでいいから、何が起きているのか報告して」
 息を荒らげるましろを、明乃はともかくなだめて落ち着かせる。
「さっきの怪物が現れたの? だったら、甲板にいるみんなを避難させないと……」
「見知らぬ人達が甲板で、件の生物と交戦しているんです!」
ましろが語った内容は、明乃の理解の範疇を超えていた。
「……一体、何が起こっているの……?」
 今まで体験してきた以上の不条理な事態に、明乃は言葉を失った。


 見張り台から甲板へ降りた野間マチコは、異形の怪物に取り囲まれていた。
 灰色の体色に、ずんぐりとした達磨のような体系の生物は、『インベス』と呼ばれる侵略者であった。
「……やれやれ。どうやら、海水入りの水鉄砲で対処できるほど、甘い相手ではないらしいな……」
 自嘲的に呟きながら無用となった水鉄砲2丁を放り捨て、マチコが絶望的な状況から抜け出すために、ともかく動こうとすると
「やーっ!」
「瞬迅閃(しゅんじんせん)!」
 矢の雨と輝く剣閃が、インベスの群れを薙ぎ払った。
 突如一変した状況に目を見開き驚愕したマチコは、二人の着物姿の少女を目撃した。
「見知らぬ船に飛ばされたと思ったら、見知らぬ『神喰い』の襲撃……これは間違いなく、『神喰い』の影響ですねっ!」
「落ち着け静(しずか)……いや、その通り、なのか……?」
 肩を丸出しにした桃色の着物と豪奢な大弓が特徴的な少女、静御前(しずかごぜん)。
 青色の着物を纏い、無骨な大太刀を携えた、どこか宗谷ましろに似た外見の少女、義経
鬼斬』。
 二人の姫君が、異形の怪物達をバッサバッサと切り捨てていく。


 小柄な少年と少女が手を握り合い、息を切らせながら「晴風」の甲板を駆け抜ける。
迷家-マヨイガ-』。
 納鳴村(ななきむら)より脱出した二人の男女・光宗と真咲は、後方より捻じれた大角を頭部に備える異形、ヤギインベスに追い立てられていた。
「くそっ! アレは『ナナキ』なのか!? 僕達は納鳴村(ななきむら)から抜け出したはずなのにどうして!?」
「光宗君! こっちにも、怪物が……」
 真咲の声に光宗が前方を確認すると、そこには『インベス』が群れをなして二人を待ち構えていた。
 光宗は、不安気な視線を向ける真咲と自分自身を鼓舞するように
「船の内部に入れる扉がどこかにあるはずだよ! まずはそれを探して、怪物達から身を隠してやり過ごそう!」
 光宗の力強い言葉に、真咲はこくりと頷いた。
 自らのトラウマより生み出される怪物『ナナキ』と向き合い、受け入れることによって納鳴村(ななきむら)から抜け出した二人は、精神的に成長していた。
 絶望的な状況においても活路を見出し、行動しようと一歩踏み出すと
「離れろ……離れなさい」
 突如投げかられた静謐な少女の声の元へと、二人は視線を向ける。
 そこには、異形の右腕を持つ活発な印象の少年と、狐面をかぶった少女が、『インベス』の群れと向き合っていた。
「裂空魔弾!」
「……朧蓮華の舞」
 影が『インベス』の群れを蹂躙した。
 呪力(しゅりょく)が込められた木片が、灰色の身体を引き裂き
 超高速の連続タックルが怪物達を一匹も残さずに破砕していく。
「ここは禍野(まがの)じゃねぇのか!? てか、何で俺たちは船の上にいるんだ?」
「見たこともない『ケガレ』も……いる。いずれにしても、全て祓う……べき!」
「言われるまでもねぇ!」
双星の陰陽師』。
 二人の陰陽師、焔魔堂ろくろと化野紅緒(あだしのべにお)が異形の侵略者と対峙する。
「待ってください! まだ一匹いるんですっ! 僕達を追いかけてきた、ひときわ大きなヤツが!」
「グォォォッッッ!!!」
 光宗の言葉にろくろと紅緒が振り返ると、咆哮をあげながら突貫するヤギインベスが迫っていた。
 同族を殲滅され怒りの形相を浮かべながら迫りくるヤギインベスに対し、陰陽師の二人はそれぞれ異形の右腕と二振りの霊剣を構える。
「DELAWARE SMASH!」
 空間を穿つような衝撃波が、ヤギインベスの側面から襲撃した。
 粉々に砕かれた異形の末路に、光宗と真咲、ろくろと紅緒が驚愕する。
「……指を2本も犠牲にしてしまった……僕の『個性』はただでさえ、制御ができないのに……わからないことだらけの状況で軽率すぎた……もっと『敵(ヴィラン)』の特性を分析してから……」
「デクくん!? 大丈夫なの?」
 指を抑えながらブツブツと念仏じみた呟きを漏らす少年に、おっとりとした印象の少女が心配そうに声をかけている。
 モジャモジャ髪の少年、緑谷出久(みどりやいずく)。
 茶髪のショートボブの少女、麗日お茶子(うららかおちゃこ)。
僕のヒーローアカデミア』。
 雄英高校のヒーロー達がそこにいた。
「あの、あなた達は……?」
 負傷した出久を気遣う様子で、真咲がオズオズと声をかけると
「これでも、僕達は『ヒーロー』なんです。君達を守らせてください」
 骨折の激痛を誤魔化すように笑い、出久は堂々と宣言した。


『ドグォン』という爆音と共に、『インベス』達が大海原の彼方へと吹き飛んだ。
「『エコーズACT2(アクトツー)』」
 静かな闘志を宿した声で、小柄な少年・広瀬康一(ひろせこういち)が囁いた。
 傍らには、小さなエイリアンのような形の『スタンド』が、主人を守るように宙に浮かんでいる。
 甲板には、『ドグォン』という『文字』が道路標示のように刻まれていた。
「こいつらは一体、何者なんだ……?『スタンド使い』ってわけじゃあないみたいだし……『DIO』の細胞が暴走したっていう、億泰(おくやす)君のお父さんみたいな存在に近いのかな……?」
「億泰の親父さんと一緒にするってのは、ちと違うぜ、康一よォ……こいつらは紛れもねぇ『悪意』ってもんを振りかざして、俺達を襲ってきてるからなぁ!」
リーゼントが特徴的な大柄な青年、東方仗助(ひがしかたじょうすけ)が怪物達を見据えながら一括した。
「『クレイジー・ダイヤモンド』! ドラァッ!!!」
 全身にハートマークがあしらわれた純白の『スタンド』、『クレイジー・ダイヤモンド』が、上空より襲撃してきたコウモリインベスの顔面を殴りつけた。
 頭部を歪ませながら甲板に叩きつけられた異形の姿に、「ひぃっ!?」と少女達の悲鳴が漏れる。
 仗助と康一の後方には、逃げ遅れた「晴風」砲術員の少女達が身を寄せ合い固まっていた。
「ともかく、彼女達を守らないとッ!」
「『グレート』……行くぞォ、康一!」
ダイヤモンドは砕けない
 杜王町(もりおうちょう)を守護する『スタンド使い』が、異形の侵略者と対峙する。


 ガシュン!という轟音が響いたのと同時に、『インベス』が軽々と宙を舞った。
 鋲打機のような武器『ツラヌキ筒』を右腕に取り付けた青年、生駒(いこま)が異形の怪物達と相対していた。
「攻撃を受けるなよ、無名! こいつらは『カバネ』とは違う! 俺達『カバネリ』でもどんな影響が出るか予想がつかないからなっ!」
「わかってるよ。それに、わたしは生駒みたいに、捨て身の戦い方なんてしないもん」
 言いながら、おかっぱ頭が特徴的な小柄な少女、無名が重力を感じさせない軽やかな動きで跳躍した。空中より二丁の蒸気銃の狙いを定め、正確無比な射撃を『インベス』の群れへと浴びせていく。
「詳しい状況はわからないが、こいつらが人に仇なす存在であることは間違いない! まずは船上の敵を掃討するぞっ!」
甲鉄城のカバネリ』。
  人外の力を宿す二人の『カバネリ』が、異形の侵略者へと牙をむく。


 甲板に、拘束された『インベス』達が転がっていた。
 灰色の表皮には目に見えないほど細い『糸』が巻き付いており、強靭な力を誇る怪物達を無力化していた。
「お前達は『テラフォーマー』とは違う。ゴキブリと混じっていない、純粋な生物の能力を宿しているのか? 俺達『M.O.手術(モザイク オーガン オペレーション)』の適応者のように……」
 昆虫の触覚のような器官を頭に備える青年が、青い体色の異形、カミキリインベスと向かい合いながら呟いた。
「ベースは髪切虫(カミキリムシ)か? 幼虫であっても堅い樹木の繊維をバリバリ食い荒らすっていう、アレだ」
 禍々しい大顎と鉄鞭のような触覚を持つカミキリインベスが、グルル……と威嚇するように呻き声をあげる。
「だがそんな強靭な顎も、外から縛ってしまえば用をなさない」
 カミキリインベスは、全身を細い『糸』に簀巻きにされ、微動だにできずに捕らわれていた。
 日本原産『大蓑蛾(オオミノガ)』。
 その能力によって生み出された生物界で最も強靭な『糸』が、異形の侵略者を完膚なまでに拘束していた。
「それで、何で俺達は地球に戻っているんだ? ミッシェルさん、マジギレしてるし……さて、どうしたもんか」
 マーズ・ランキング6位・膝丸燈(ひざまるあかり)は足元に転がる異形を一瞥もせずに、爆音を響かせる上司の方へと視線を向けた。
「なぁ、オイ……聞いてくれ。ついさっきまで私は部下達と火星でゴキブリや中国人達とドンパチやっていたんだが……どうして、地球にしか見えない大海原のど真ん中に居るんだ?」
 理知的な眼鏡が印象的な金髪の美女、ミッシェル・K・デイヴスが紅い体色の異形へと問いかける。
 相対するのは、『インベス』の中でも突出した身体能力を持つライオンインベス。
 ミッシェルの言葉に反応せずに、ライオンインベスがその刃のように発達した鋭い爪を振り下ろすと
「テメェ、人の話を聞けよ……ぶっ殺されてぇのか?」
 身長164cmのミッシェルが、244cmものライオンインベスの巨体を片手で釣り上げていた。
 激高したミッシェルが繰り出したのは、技と呼ぶにはおこがましいほどに原始的なプロレス技、『アイアン・クロー(脳天締め)』。    
 掌で顔面を掴み、指先で握力を使って締め上げるだけの技だが、ライオンインベスの頭部の三分の一ほどは、粘土のように歪んていた。
 史上最強の蟻『弾丸蟻(パラポネラ)』の筋力が、百獣の王の名を冠する異形を圧倒する。
「ジタバタ暴れんな」
 宙吊りされたライオンインベスが雄叫びをあげながら爪を振り回し反撃を試みた瞬間に、その身体は内側より爆散した。
 ミッシェルの身に宿る第二の生物『爆弾蟻(ブラストアント)』の能力が作り出した揮発性の液体が、ライオンインベスを内部より破砕したのである。
「ゴキブリよりは可愛げはあるみたいだが、生憎と今の私は機嫌が悪いんでな」
 マーズ・ランキング5位、ミッシェル・K・デイヴスは吐き捨てるように言う。
 そんな上司の姿を見ながら、燈は内心「おっかねぇ」と震えていた。
テラフォーマーズ』。
 地球の生物の能力(ちから)を宿す戦士達が、異世界の怪物達を一掃する。


「……うそ……どうして、こんなことに……?」
「晴風」艦長、明乃は異常な事態を把握するべく、甲板まで下りていた。
 そこで目撃したのは、濃密な戦闘の爪痕。
 異形の怪物と超常の力を振るう者達がぶつかり合った結果、頑強な甲板は至る所が捲れ上がっていた。
 自らの艦で生じた惨状に呆気にとられていた明乃の背後より、生き残りの『インベス』が音もなく忍び寄る。
「危ないっ!」
 凛とした鈴の音のような声が響くと同時に、氷の礫が明乃の顔を横切りながら飛来し、背後の異形に叩き込まれた。
 声の主は、長い銀色の髪と紫紺の瞳を持つ少女であった。
 少女の隣には、手の平サイズの猫がぷかぷかと浮かんでいる。
 直前に起きた怪物の襲撃に身を震わせながら、明乃は自らを救った銀髪の少女へと声をかけた。
「あ、ありがとうございます。その、あなたは一体……?」
「お礼を言う必要はないわ。私はあなたに聞きたいことがあるから、自分のために助けただけなんだから」
 銀髪の少女、エミリアの突き放すような言動に明乃が混乱していると
「まだ終わってねぇ! 海だ! この後、海からもっとデカい奴が出てくるはずだ!」
 ジャージ姿の青年が叫んだ言葉に、エミリアと明乃が海へと目を向ける。
 瞬間、緑色の体色の龍のような怪物が、海面から飛び出すように出現した。
「晴風」と交戦したセイリュウインベス強化体が、威嚇するように咆哮を轟かせる。
「さっきの『龍』!? そんな……艦砲でも仕留めきれなかったのっ!?」
「ドラゴンが相手なんて……パック、アレを倒すことはできる?」
「アレはドラゴンなんて呼べるほど大層な存在じゃないさ。せいぜい『魔獣』といったところだよ。それでも、今のリアのマナ量だと、正直厳しいかもしれないね……」
 宙に浮かぶ精霊猫、パックの言葉にエミリアが苦々しい表情になる。
「オドを使ってでも、アレを倒さないと……! 今、この船を失うわけにはいかないもの……!」
 決意を込めた眼差しで、エミリアがセイリュウインベス強化体へと魔法を放とうとすると
「「わたし達に任せてっ!」」
 少女達の声が、上空より響いた。
 明乃が空を仰ぎ見たのは、青を基調とした羽衣風のコスチュームを身にまとう二人の少女であった。
「……人魚?」
 その姿は、明乃に『ブルーマーメイド』の名称の元となった、伝説上の生物を彷彿させた。
 優雅に空を泳ぐ二人の人魚、サファイアスタイルのキュアミラクルキュアマジカルが海上のセイリュウインベス強化体と相対する。
「モフゥ-----------ッッッ!!!」
「「リンクルステッキ・サファイア! 青き知性よ、私たちの手に!」」
 くまのぬいぐるみ、モフルンから放射された閃光が、二人のステッキへと収束されていく。人魚族の秘宝、リンクルストーンサファイアの力が、リンクルステッキに満ちていく。
「「フル、フル、リンクル!」」
 キュアミラクルキュアマジカルが各々のリンクルステッキを振るうと、二つの魔法陣が出現した。
 ひとつはセイリュウインベス強化体を海上に縫い止め、もうひとつは上空で巨大な魔法陣へと展開する。
 いつの間にか表れた満月をバックに上空の魔法陣へと降り立ち、二人の『プリキュア』は手をつなぎ、リンクルステッキを相手に差し向け叫ぶ。
『『プリキュアサファイア・スマーティッシュ!』』
 巨大化した魔法陣より、数多の激流が放射された。
 激流がセイリュウインベス強化体に纏わりつき、その巨体は球体状に包み込まれる。やがてリボン状の光となった水流は圧縮していき、異形を塵一つ残さずに圧壊させた。
魔法つかいプリキュア』。
 キュアミラクルキュアマジカル
 伝説の魔法つかい『プリキュア』の金魔法が異形の侵略者を容赦なく浄化させた。
「パネェ! リアル魔法少女、実際に見ると本当にパネェな! ちょっと技がエゲつないのも、ギャップを感じさせてGOOD!」
 甲板ではしゃぐジャージ姿の青年、ナツキ・スバルを余所にエミリアが不思議そうな表情で首を傾げる。
「……どうして、スバルは敵が現れるってわかったんだろう?」
Re:ゼロから始める異世界生活』。
『死に戻り』の力を持つ青年、ナツキ・スバルはいかなる世界でも、エミリアを助けるために奔走する。
生物兵器とか……そんな規模じゃない……これは、魔法なの?」
 眼前で繰り広げられた非現実的な光景に圧倒された明乃が絞るように言葉を漏らす。
 茫然自失となった明乃の目の前に、甲板で生き残った最後の『インベス』、50mを超す巨大を誇るシカインベス強化体が現れた。
「ひぅっ!?」
「あっぶねぇ!」
「下がって!」
 炎をまとった拳を繰り出すシカインベス強化体に対し、スバルが明乃を強引に突き飛ばし、エミリアが雪の結晶のような障壁を展開させる。
 瞬間、グシャリとシカインベス強化体の上半身は何かに『喰い千切られた』ように消失した。
「すまないが、この艦の責任者と話がしたい」
 残る下半身も咀嚼音と共に消え去った後に、黒いスーツを着こなす理知的な印象の男性が現れた。
 男性の足元では、漆黒の『影』が不気味に蠢いていた。
影鰐-KAGEWANI-』。
 怪異の力をその身に宿す男、番場宗介(ばんばそうすけ)はいつものように奇怪な事件に巻き込まれていた。
「一応、わたしが『晴風』の艦長を務めていますが……」
「君が……? まだ、学生にしか見えないが……ともかく、この場にいる全員と落ち着いて話ができる場を設けてほしい。遭遇した『奇獣』への対策とこれからについて、話し合いたい」
 番場の言葉に、明乃は強い決意を抱いた表情で頷いた。
「わかりました。すぐに用意させていただきます。わたし達も、少しでも現状が知りたいので」
ハイスクール・フリート』。
 陽炎型航洋直接教育艦「晴風」艦長兼クラス委員長、岬明乃は静かに決意した。
(……大丈夫。みんなで力を合わせれば、何とかなるはず。だって、越えられない嵐はないんだから!)
 自らを奮い立てながら、明乃は異常事態と対峙し、乗り越えていくと決心する。

☆☆☆

『ブルーマーメイド』。
鬼斬の姫君』。
『納鳴村の生存者』。
双星の陰陽師』。
『ヒーロー』。
スタンド使い』。
『カバネリ』。
『M.O.手術適応者』。
『死に戻り』と『精霊使い』。
プリキュア』。
『影鰐』。
 様々な種類のキャラクターが集う「晴風」へと、スーツ姿の男が虚ろげな視線を送っていた。
 その男の瞳には『虚無』が秘められていた。
 その表情は難問に挑み続ける哲学者のように苦悩に満ちているようで
 また単位を修得できずに留年が決まった大学生のような絶望を秘めて
 はたまたFXで有り金全部溶かす人の顔のようでもあった。
「全てのオタクを支配したい」
『ペニス―ツマン』坂上逆孤(さかのうえさかこ)がぼそりと呟いた。
 その股間からは『鎧武』の世界で獲得したオーバーロードとしての力の象徴、『黄金の果実』が輝いていた。

「うぃいいいいいいいいいいい↑っす!
 どうも、ライダーのサーヴァント、シャムで~す!」

 斥候として放った『インベス』で敵の力を推し量ったペニス―ツマンは、「晴風」に向け、宣戦布告をする。
 海面に直立するペニス―ツマンが、不気味な挙動でクネクネと身をよじらせた。
 決戦の時は……近い。