ペニスーツマンが異世界転生 第3射精

「この野郎醤油瓶……!」

 坂上が金髪の少女を睨みつけ、啖呵を切った。
 逸物を露出させることで怪異ペニスーツマンへと変貌せんとジッパーに手をかけると
「兄ちゃんは下がってな」
 大きな掌に肩を叩かれた坂上が振り返った。
「見たところ貴方は『冒険者』ではないのでしょう? 僕たちにお任せあれ」
「我らが姫騎士アリサが必ずや『デザイア』の魔物を討伐してみせまする」
 筋骨隆々な戦士然とした大男、眼鏡をかけた魔法使い風の青年、身の丈以上の杖を抱えた僧侶のような老人にそれぞれ声をかけられた。
 件の金髪の少女の仲間であると、坂上は推測した。
「輝け!『 ピュアホワイトスパーク』!」
 姫騎士と呼ばれた少女アリサが剣を掲げると、純白の稲妻が剣先より迸った。
 稲妻が少女を取り囲む巨大な蟷螂達を貫き、虫達を炭へと変えていく。
 そんな光景を坂上が苦虫を噛み潰したような顔で見守っていた、そのときであった。
「よくもアタシの子供達を焼きやがったな!」
 舌ったらずの声が森林に木霊した。
 小さな幼女が、鋭い目付きで姫騎士とその仲間たちを見据えていた。
 緑色の体色に、小さな頭から長い触覚が生えたその姿は、明らかに人間離れした外見であった。
「エッッッッ!」
 しかし、坂上にとって、昆虫を擬人化したようなその姿はどストライクであった。
 思わず絶叫し、坂上は軽く射精をしてしまっていた。
「魔物生み出す元凶……『デザイア』の一角、スナッチ……! 今日があなたの命日になります!」
 姫騎士アリサが凛とした声音で、昆虫の如き幼女へと宣言した。
「魔物を生み出す? 違うな。生み出しているのはお前達人間の『欲望』さ! アタシ達はお前達の悪意をエサにしているだけにすぎないんだよ」
 魔物を生み出す元凶と呼ばれた虫幼女スナッチが不敵な笑みを浮かべて応じる。
 彼女がボロ布を継ぎ接ぎしたようなワンピースの上からお腹をさすった。
 そのお腹は、さながら臨月に入った妊婦のように、その小さな体にアンバランスな程に膨れていた。
 やがて、スナッチの股下から、ポロッと野球ボール程の大きさの『卵』が産み出された。
「……行け!『クッコロスパイダー』っ!」
 スナッチが自ら産み落とした『卵』を蹴り飛ばした。
 宙空を飛ぶ『卵』が緑色の閃光と共に爆ぜる。
 瞬間、坂上よりも頭一つ大きい針金細工の人形のようなシルエットが出現した。
「八個の単眼、発達した上顎、それに出糸突起……! え、エロい……!」
「剣よ、閃けっ!『ミルクホワイトストリーム』!」
 蜘蛛を人型にしたような怪物を前に何やら興奮している様子の坂上に気にかけず、姫騎士アリサが舞うように剣技を繰り出した。
「……ど……どうして……?」
 人間離れした速度で振るわれた剣技を、クッコロスパイダーは予測していたように避け、アリサの身体を糸で捕縛していた。
「さぁ、『欲望』を解放しろ!」
 スナッチが口元を三日月のように歪ませ、宣言した。
 糸で手足を拘束されたアリサが、蜘蛛の触肢に甲冑を取り外され、為す術もなく肌を露わにされていく。
「い、いや……助けて! みんな助けてぇッ!!!」
 クッコロスパイダーの口元から飛び出たグロテスクな生殖器が姫騎士の秘部を貫かんとする。
 仲間達に必死に助けを求めたアリサは、驚愕に目を見開いた。
「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」
「ちくしょう勃起が半端ねぇ!」
「後生だ! 眼鏡を、フィニッシュ前に眼鏡をかけさせてくれ!」
 仲間達三人はアリサの痴態を見物しながら、あろうことか自慰に興じていた。
 仲間の一人、魔法使い風の青年のリクエストに応じて、クッコロスパイダーが何処からか取り出した眼鏡をそっとアリサにかけた。
「み、みんな……なに、を……?」
「鈍いヤツだなぁ!『クッコロスパイダー』はお仲間の『欲望』から生み出された魔物なんだよ! 揃いも揃って仲間達は、お前が魔物に敗北し、無様に純潔を散らす様を心の底で望んでいたのさ!」
 アリサが絶望に染まった表情で、改めて仲間達を見つめた。血走った眼でアリサの痴態を凝視しながら、一心不乱に己の逸物を擦る男達がそこにいた。
「すみません! すみません! 姫騎士アリサ! 至高のオカズが目の前にあるんです! オナニーせずにはいられないのです!」
「……アアア………アァァァァッッッ!!!」
 魔法使い風の青年から投げかけられた言葉が、姫騎士アリサの心を粉々に砕いた。
 獣のように咆哮するアリサを前に、クッコロスパイダーは黙々と己が務めを果たした。
 アリサが純潔を失ったのと同時に、仲間達三人は生涯最高ともいえる射精を果たした。
「蜘蛛は頭部の触肢にスポイトのように精液を貯めて、これを生殖器のように使い雌と交接するからなぁ……口からチンコが出たのはその名残なのか」
 スナッチの姿を見て既に射精を果たしていた坂上は、穏やかな海のように落ち着いた賢者タイムの精神で、クッコロスパイダーの生態について考察していた。
「……しんでしまえ……あなた達なんて……みんな……死んでしまえ……!!!」
 クッコロスパイダーに現在進行形で陵辱されているアリサが仲間達へ向かって怨嗟の叫びをあげた。
 瞬間、虫幼女スナッチのお腹がボコっと膨れ上がった。やがてその股下から、ポコンとバスケットボール程の大きさの『卵』が産み出される。
「アハハハッッッ! 今回のは大物だなぁ! いけぇ、『パイプカットマンティス』!」
 緑色の閃光と共に『卵』から生み出されたのは、身の丈5m以上もある巨大な蟷螂であった。
「ハァッ……ハァッ……ガァゥッッ!?」
 蟷螂の魔物・パイプカットマンティスが自慰に耽る仲間達を、その巨大な鎌でもって横一文字に両断した。
パイプカットどころじゃないんだよなぁ……」
 腰の辺りで切り離されている死体三体を前に、坂上が冷静なコメントを残す。
 そんな坂上へと、パイプカットマンティスが鎌を振り上げ威嚇した。
「別に私はオナニーなどしてないのに……男なら見境なしってことですかね」
 そんなことを呟きながら、坂上は徐にスラックスのジッパーを下ろし、己の逸物をぼろんと出した。
「変身!」
 坂上が威風堂々と宣言する。
 逸物から放たれる白濁とした閃光に包まれながら、その姿は異形へ変貌していく。
 身体には変化は見られず、依然きっちりとしたスーツが着込まれていた。
 しかしながら……その頭部が陰茎というか男性器というか亀の頭のような形状へ変化していたのである。
「我が名は哲学する男性器『ペニス―ツマン』……命をかけて、かかってこい!」
 ペニスーツマンの『異世界』における最初の戦闘の幕が切って落とされた。

ペニスーツマンが異世界転生 第2射精

 まるで星空の中に放り出されたような、神秘的な空間であった。
 上下左右真っ暗な闇に包まれた中、遥か遠くで星々が瞬く宇宙のような異空間に、怪異ペニスーツマンから人間の姿へ戻ったサラリーマンが覇気のない表情で漂っていた。
「驚かないで聞いて欲しいのだが……君は死んでしまったのだよ、坂上逆孤(さかのうえさかこ)君。否、『ペニスーツマン』と呼ぶべきなのかな?」
「……はぁ。あの姿でも電車に轢かれれば死ねるものなんですねぇ……」
 眼前に出現した『人型の影』から徐に言葉が投げかけられた。
 どこか他人事のような返事をするスーツ姿の男、坂上へと『人型の影』は続ける。
「奇異な能力を宿す男、坂上よ。哀れにも冤罪で命を落とした君に、今一度チャンスを与えよう。君にはとある世界へと……」
「『異世界転生』……でしょうか?」
 言葉を遮られた『人型の影』が、ユラユラとその輪郭を揺らした。
「日本人は説明の手間が省けて助かるよ。その通り、ファンタジーな世界へと旅立ち、その能力を活かし、力を振るって欲しい。その奇異な力は現代の日本では持て余していたことだろう」
「持て余していたことを否定はしませんが……」
「ならば問題あるまい。転生者には所謂『チート能力』などと呼ばれる特典が与えられるのだが……」
 どうも煮え切らない態度をとる坂上を押し切るように『人型の影』が強引に話を進める。
「君には必要あるまい。既に特殊な能力を身につけているようだからな」
「出来ればスマホ繋がるようにして頂けると助かるのですが……現代っ子なので……」
 坂上の申し出に、数瞬『人型の影』が考え込むと
「そうか。ならば『異世界で使用可能なスマートフォンの持ち込み』という特典をつけておこうか。それでは、良き活躍を期待している」
『人型の影』の激励の言葉を最後に、坂上は眩い光に包まれ、やがてその意識を刈り取られた。

☆☆☆

「……どうすればいいのだろう」
 スーツ姿の男、坂上逆孤は途方に暮れていた。
 鬱蒼と茂る深林の中、木陰で体育座りしながら、坂上はただスマホを弄っていた。
「こんな森の中に放り出されるとは思わなかった……」
 怪異ペニスーツマンへと変貌する能力を持っていても、基本は平凡極まりないサラリーマンである坂上に、サバイバル技術など持ち合わせているはずもない。
 唯一の生命線であるスマホで『アウトドアで役立つサバイバル技術』などを検索しているが、豆知識をいくら仕入れたところで、直面している現実的な問題に解決するには至らなかった。
「着の身着の儘で転生されたものだから、ペットボトルもビニールシートも清潔な布も持っていないんだよなぁ……」
 ひとまず飲み水を確保しようとネット検索したものの、出てくるのは『ペットボトルで濾過する方法』やら『朝露を集める方法』やら気の遠くなる知識ばかりであった。
「一応は『チート能力』?扱いだからなのか、スマホのバッテリーが114514%で固定されているのがせめてもの救いか……」
 そんなことを呟きながら、坂上はフラフラと深林を探索していく。
 何にせよ水と食料を確保しなければ、と意気込み歩き慣れない森林をえっちらおっちらと進んでいく。
「解除方法が分からなくていまだに英検の試験監督と日雇いバイトの募集メール届く……んん?」
 スマホに表示される新着メールを見ながらうんざりと呟いていると、坂上は違和感を覚えた。
 キョッ!キョッ!キョッ!という怪音が森林に響いているのである。
 その奇怪な音は、坂上には聞き覚えがあるものであった。
「間違いない。これは蟷螂の鳴き声ですね……」
 坂上は人間の女体ではなく、虫の類に欲情する性癖を持つ男である。
 故に、昆虫の生態に関して造詣が深く、その知識を活かし鳴き声を分析したのであった。
 坂上は、さながら誘蛾灯に惹かれる羽虫のように、その鳴き声の出所へと歩んでいった。

「光よ集え、『ホワイトエッジ』!」

 其処には、妖精の如き美貌の少女が舞うように剣を振るっていた。

 白銀の鎧を着込んだ金髪の少女が、巨大な蟷螂の群れを相手に、光を纏った大剣をもってその悉くを斬り伏せていた。
異世界』に相応しい幻想的な光景を目撃した坂上は……

更年期障害だから唐突に世界にブチギレてしまう……!」

 斬り伏せられる蟷螂達を見て、怒りに震えていた。
 やがて坂上は、スラックスのジッパーに手をかけ、戦う決意を固めた。

ペニス―ツマンが異世界転生 第1射精

「この人痴漢です!」

 電車内に金切り声が響いた。
 同時に、気が強そうな女性が一人のサラリーマンの腕を捻じり上げるように掴んでいた。
「何もしていません」
 周囲の注目を集めているサラリーマンは、覇気のない声で呟いた。
「いいから、降りなさい!」
 男の言葉は一括され、やがて周囲の人間に固められたサラリーマンは電車の外に引きずり下ろされた。
「駅員が来るまで大人しくしてなさい」
 女性が吐き捨てるように言い放つ。
 周囲の男達に乱暴に腕を掴まれたスーツ姿の男はただ立ち尽くしていた。
 その男の瞳には『虚無』が秘められていた。
 その表情は難問に挑み続ける哲学者のように苦悩に満ちているようで
 また単位を修得できずに留年が決まった大学生のような絶望を秘めて
 はたまたFXで有り金全部溶かす人の顔のようでもあった。
「……今日見た夢:えむさんかTwitterで『ちんちんをモルゲッソヨする(女性器に挿入するという意味)時なんですけど〜』と語り始める……」
 スーツ姿の男が覇気のない表情のままにブツブツと呟いた。
 怪訝な表情で睨みつける女性を前に、スーツ姿の男は徐にスラックスのジッパーを下ろし、己の逸物をぼろんと出した。
 モノホンの痴漢じゃないか!?と傍観していた人々が身構える中、スーツ姿の男は威風堂々と宣言した。
「変身」
 逸物から放たれる白濁とした閃光に包まれながら、その姿は異形へ変貌していく。
 身体には変化は見られず、依然きっちりとしたスーツが着込まれていた。
 しかしながら……その頭部が陰茎というか男性器というか亀の頭のような形状へ変化していたのである。
「ぺ、ペニスーツマンだぁ!?」
 野次馬の一人が驚愕の声を上げた。
 都市伝説。
 巷の噂の中で語られし現代の妖怪。
 曰く、哲学を極めた深淵に潜みし魔物。
 曰く、ストレスで変貌したサラリーマンの末路。
 曰く、単位を修得できず留年が決まった大学生の怨嗟。
 曰く、小学生の落書き。
 キッチリとしたスーツ姿の上に、ビンビンに勃起したペニスがおっ立つ異様な姿。
 様々な説で語られし怪異が人々の眼前に出現した。
「け、警察、だれか警察ゥゥゥッッッ!!!」
 痴漢されたと主張する女性が、金切り声を上げながらポーチから取り出した催涙スプレーを噴射した。
「ンアアアアアァァァォ!!!」
 スプレーの刺激を受けた怪異・ペニスーツマンは、その頭部……否、『亀頭部』をビクビクと膨張させた。
 瞬間、ペニスーツマンの亀頭部から白濁の液体が放射された。
 さながらポンプ車の放水の如く、勢いよく吐き出された精液によって、女性は向こう側のホームまで吹き飛ばされた。
「自慰と真摯に向き合わずにシコると本当に摩訶不思議なシチュエーションでシコる羽目になって何やってんだろう俺……感が強まる……」
 射精した後の賢者タイムに陥っていたペニスーツマンが、ふと周囲を見渡した。
 そこでは、呆気にとられた表情でスマートフォンを向ける民衆に取り囲まれていた。
「ち、違うんです! 今のは刺激でつい……」
 人々から向けられる軽蔑と好奇と恐怖が入り混じった視線に耐えられず、ペニスーツマンは逃げ出した。
 人混みを押しのけながら、制服姿の男達が逃げるペニスーツマンを追っていく。
 駅員のみならず、そこには警察も混ざっていた。
「このままでは痴漢扱いされて逮捕されてしまう!」
 言いながら、ペニスーツマンは線路に飛び降りた。
 少しでも駅員達から離れたい一心で、ペニスーツマンが線路の上を走り抜けようとした、その瞬間であった。
 ギギギギギャイーーーンギャリギャリンッ!
 ドカシッボッグガガガガガガボガボガ!
 ガコココココバキバキバキャキャキャ!
 ガコッガコッガッコガッグゴゴゴゴゴ!
 グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴ……プチッ!
 列車に轢かれたペニスーツマンは、そんな轟音を響かせながら、この世界から消え失せた。

ペニス―ツマン VS けもの

 多くの木々が立ち並ぶ苺坂自然公園にて、二人の少女が困惑した様子で立ち尽くしていた。
「ここは、どこなんだろう?」
 大きな鞄が特徴的な大人しめな印象の少女、通称『かばんちゃん』が不安げな声を漏らす。
「わからないよー。でも、こっちからいい匂いがするから、とりあえずいってみよー?」
 猫耳と尻尾を持つアニマルガール、サーバルが活発的な笑顔を絶やさずに言葉を返す。
 ゴコクエリアへ向け、旅を続けていた二人は突如、見知らぬ場所に移動していた。
 海上を進んでいたジャパリバスは影も形もなくなり、彼女達の案内役であるラッキービーストからの応答もない。
「ほらほら、はやくはやくー」
「ちょ、ちょっと、サーバルちゃん!?」
 異常ともいえる事態にもう少し情報を集めないと……などと逡巡するかばんちゃんの手を取り、サーバルは強引に歩き出した。
 鼻をすんすんと鳴らしながら歩むサーバルに、困った顔でかばんちゃんは付いていく。
 やがて、二人は『キラキラパティスリー』と書かれた看板が目を引く建物へと辿り着いた。
 辺りに漂う甘い香りに誘われるように、サーバルは躊躇なくそのドアを開ける。
「こんにちはー!」
「ご、ごめんくださいー……」
 サーバルは元気よく、かばんちゃんは遠慮気味に声をあげながら中へと入った。
「いらっしゃいませー!スイーツショップ『キラキラパティスリー』へようこそ!」
 真新しい店内の販売スペースから、1人の少女が屈託のない笑顔で出迎えた。
「スイーツ……ショップ……? ここはお店、なんですか?」
 アルパカ・スリが営んでいた『ジャパリカフェ』を思い浮かべながら、かばんちゃんが尋ねると
「はいっ! でも、ごめんなさい……今は準備中なんです。それでも今、新作のスイーツを試作してるので、よかったら食べていってください」
「よくわからないけど、おいしいものを食べさせてくれるの? ありがとー」
 食べものに釣られたサーバルがずいずいと店の奥へと入っていく。
「わたしはサーバルキャットのサーバルだよ。あなたはどんな『動物』なの?」
「わたしは宇佐美いちか。えーと『動物』……? 強いていうなら、『うさぎ』に似てるってよく言われるかな?」
「そっかー。じゃあ、ウサギちゃん、だね」
 茶髪のツインテールが特徴的な少女・宇佐美いちか。
 またの名を『いちごショートケーキ』のアニマルスイーツより生まれしプリキュア、キュアホイップ。
「伝説のパティシエ」プリキュアへ変身する力を秘めた少女である。
「そちらのあなたのお名前は?」
「ぼくの名前は、かばんです。よろしくお願いします」
 かばんちゃんといちかが笑顔で挨拶を交わす。
 この瞬間が、けものフレンズキラキラ☆プリキュアアラモード、異なる世界の邂逅の始まりであった。

☆☆☆

 店内の工房へかばんちゃんとサーバルが案内されると、大きな本を抱えた小柄な少女と活発な印象の少女に出迎えられた。
「新しいお客さんか? 今日は珍しいお客がよく来る日だな」
「うむむ……どうみても身体は粘土で出来てるみたいです……どんな原理で動いているのでしょう……?」
 八重歯を覗かせる少女・立神あおい。
 本を読みながら難しい顔で何やら考察している少女・有栖川ひまり。
 共に、いちかと同様にアニマルスイーツの力を持つプリキュアである。
 そんな二人の視線の先には、ペンギンのような生物が居た。
「おまんこぉ^~(挨拶)」
「えぇー!?」
 粘土のような身体を持つペンギン、通称ケツデカピングーから放たれた卑猥な言葉に、かばんちゃんが困惑の声をあげた。
「この子もお客さんなの。試しにスイーツを食べさせてあげたら、気に入っちゃったみたいで……」
「そ、そうなんですか……あはは、変わった鳴き声の動物ですね……」
 苦笑しながら説明するいちかに、かばんちゃんが愛想笑いで返した。
「この子は『ペンギン』なのかなー? ペンギンのフレンズ達なら知ってるけど、元の姿をみるのは初めてだよー」
 ジャパリパークのアイドルユニット・PPP(ペパプ)を思いだしながら、サーバルがケツデカピングーの頭を撫でようと近寄ると
「きしょい…(拒絶)」
「ひどいよっ!」
 拒絶されたサーバルがぷんすか怒っているのを尻目に、ケツデカピングーがあおいに擦り寄った。
「ちょっとすいません(おかわり)いいですか?」
「何だ? そんなにアイスが気に入ったのか? しょーがない奴だな」
 あおいに試作品のアイスを手渡されたケツデカピングーが、ペッチャクッチャと下品な音を立てながら舐め回す。
「この子……明らかに日本語喋ってませんか?」
「気のせいだろ? 鳴き声がたまたまそう聞こえるだけだって」
 怪訝な顔で呟くひまりとは対照的に、あおいは呑気な態度を崩さない。
 一人だけ妙に懐かれていることに気分を良くしているのかもしれない。
「さぁ、めしあがれ! 今日の出会いでキラっとひらめいた新作のスイーツ、『ペンギンアイス』です!」
 いちかがサーバルとかばんちゃんにペンギンの形にデコレートされたアイスを手渡した。
「何これ~! すっごく、あま~い!」
「これは『料理』……なんでしょうか? すごく、すごく、おいしいです!」
 サーバルが飛び上がるように喜び、かばんちゃんもまた珍しく大声をあげるほどにその味に感動していた。
 ジャパリ図書館で『料理』について学んだかばんちゃんであるが、これほどの味を再現するのは難しいだろう。
「これは、スイーツ、なんだっけ? あなたはスイーツ作りが得意なフレンズなんだね!」
「いやぁ~、それほどでも~」
 サーバルの真っ直ぐな賞賛に、いちかが大きなツインテールを揺らしながら照れていた。
「全身がプレミアムフライデーになってきた」
 突如、少女達の交流を打ち切るように、一人のスーツ姿の男が現れた。
「坂上逆孤(さかのうえさかこ)と申します」
「お客さんですか? ごめんなさい、今は準備中で……」
「ハゲろ…ハゲろ…(陰口)」
 突然の来訪者にもいちかが丁寧に対応していると、ケツデカピングーが歯茎を剥き出しに威嚇した。
 それは動物が天敵に遭遇したような反応であった。
「こいつの飼い主ってワケじゃあ、ないようだな?」
 あおいがケツデカピングーを庇うように立ち塞がる。
 スーツ姿の男・坂上は虚無を秘めた瞳で工房を見渡しながら
「なにがものづくりだよボケが。一生ものつくってろよハナクソが」
「なっ!? 何なんですか、あなたは!?」
 坂上の暴言に、警戒心を露わにしたひまりもまた立ち上がる。
「ペニスーツマンってなんだ。ペニスに世界を救えるのか。会社を破壊してくれるのか。教えてくれペニスーツマン」
「かばんちゃん、サーバルちゃん! 下がって!」
 いちかは咄嗟に叫んでいた。
 坂上の纏う、瘴気とも言うべき圧力が増大したことを感じたのである。
 坂上はスラックスのジッパーを下ろし、己の逸物をぼろんと露出させ、力強く宣言した。
「変身!」
 一声と共に、坂上の逸物が神々しい光を放った。
 やがて白濁とした閃光に包まれながら、その姿が異形へ変貌していく。
 身体には変化は見られず、依然きっちりとしたスーツが着込まれていた。
 しかしながら……その頭部が陰茎というか男性器というか亀の頭のような形状へ変化していたのである。
「ペニス―ツマン、爆現」
 眼前に出現した卑猥な形の怪異に、一同に緊張が走る。
「セルリアン!? フレンズの姿から変わるなんて!?」
 その姿は、サーバル達と幾度なく交戦したジャパリパークの外敵『セルリアン』を彷彿させた。
「まさか、あなたもキラキラルを狙う悪い妖精さんなの!?」
 想いが込められたスイーツに宿るエネルギー『キラキラル』。
 いちか達プリキュアは、これを付け狙う『悪の妖精』を思い浮かべた。
「ペニスーツマンってなんだ。ペニスに世界を救えるのか。会社を破壊してくれるのか。教えてくれペニスーツマン。闇を切り裂くちんぽはお前か……?」
「何いってるのかわからないよー……」
 ペニスーツマンの狂気じみた台詞に、珍しく怯えた様子でサーバルが尻込んでいた。
「みんな、いくよ!」
 いちかの一声のもと、あおいとひまりはスイーツパクトを取り出し戦う覚悟を決める。
「「「キュアラモード・デコレーション!!!」」」
『いちごショートケーキ』
『りすプリン』
『らいおんアイス』
 各々のアニマルスイーツをパクトにセットすると、いちか達はクリームエネルギーに包まれその姿を変貌させていく。
「元気と笑顔を!レッツ・ラ・まぜまぜ!キュアホイップ! できあがり!」
「知性と勇気を!レッツ・ラ・まぜまぜ!キュアカスタード!できあがり!」
「自由と情熱を!レッツ・ラ・まぜまぜ!キュアジェラート!できあがり!」
スイーツを守護せし『伝説のパティシエ』・キラキラ☆プリキュアアラモードが威風堂々と名乗りをあげた。
「オーオーオー。オーオーオー。
 悲しきペニスが夜に叫ぶ。
 一つのちんぽが涙を落とす。
 今日のペニスと明日のペニスは男と男と男と男。
 社会を抱きしめ世界を犯せ!」
 雄々しい宣言と共に、ペニスーツマンが亀頭部をビクビクと膨張させる。
 ペニスーツマンとの激闘が幕を切った。

☆☆☆

「ハァァァッッッ!!!」
 キュアホイップが裂帛の気合いの気合いと共に、小さなスティックを振るった。
 キュアホイップを筆頭とするプリキュア達は、キラキラルより生じる『クリームエネルギー』と呼ばれる力を武器とする。
 淡いピンク色のホイップクリームのようなエネルギーが『拳』の如き形状となり、ペニスーツマンの身体に打ち込まれた。
「くっせえちんぽ体操第一、ちんぽを大きく振って背伸びの運動」
 店外まで吹き飛ばされたペニスーツマンであるが、呑気に体操をする程に余裕の様子であった。
「わたしも戦うよ! ウサギちゃんに、えーと……」
「キュアカスタード。アニマルスイーツは『りすプリン』です」
「あたしはキュアジェラート!『らいおんアイス』だ」
「リスちゃんに、ライオンちゃんだね! よろしくっ!」
 簡潔に自己紹介を済ませたサーバルと三人のプリキュア達が店の外まで駆ける。
「ペンギンさんはぼくに任せてください。皆さん、どうかお気をつけて……」
「おまんこぉ^~(激励の言葉)!」
 かばんちゃんとケツデカピングーの激励の言葉に頷きながら、一同が尚も体操を続けるペニスーツマンと対決した。
(それにしても、どうしてここのフレンズさんは、耳や尻尾を隠していたんだろう?)
 いちか達アニマルスイーツを力の源とするプリキュア達は、そのモチーフとなった動物の能力を秘めている。
 例をあげれば、キュアホイップは『うさぎ』のような耳や尻尾が生え、跳躍力や聴力といった力が増大する。
 動物的特徴が現れるその姿を見たかばんちゃんが、プリキュア達をサーバルのようなアニマルガール・即ちフレンズであると誤解したのも無理はないことだろう。
「『野生解放』のようなものなのかな……? とにかく、ぼくに出来ることがないか考えないと……!」
 ヒトのような外見から変化した点について気になるところであったが、拘泥している余裕はないとかばんちゃんは切り替えた。
 サーバル達を幾度なく救ってきた『ヒト』としての能力。
 考え抜くことによって、かばんちゃんは戦いに加勢することを決意する。
「きみはおちんちんをいじりまくって気持ち良くなるフレンズなんだね!気持ち悪い……死ねよ『ハイメガザーメン砲』!」
 ペニスーツマンの十八番がサーバルとプリキュア達へと迫り来る。
「させねぇぞ!」
 キュアジェラートが吠えながら、水色のクリームエネルギーを氷壁に変化させ、精液の奔流を防いだ。
「今のは……!? あなたもキラキラルの力が使えるのっ!?」
 ペニスーツマンが射精したザーメンをクリームエネルギーと勘違いしたキュアホイップが唖然とする。
「どうみても精子ですっ!一緒にしちゃダメですよ!」
 ツッコミを入れながらも、キュアカスタードはリスの俊足をもってペニスーツマンの周囲をグルグルと駆け回り、紐状に生成したクリームエネルギーでペニスーツマンを縛り上げていく。
「圧倒的な力を掛けられてアライさんが五体バキバキになって死ぬシーンばかり考えてしまう。常識人なので」
「ひどいよっ! そんなことをしたら、許さないんだからー!」
 縛られながらも悪態を吐くペニスーツマンに、激昂したサーバルが迫り来る。
「うみゃみゃみゃみゃみゃう!!!」
「何のぉ、『包茎ガード』!」
 仲の良いフレンズを侮辱された怒りを胸に、サーバルがペニスーツマンへと爪を立てまくる。
 キュアホイップ達の仲間であるプリキュア・キュアマカロンの引っ掻き攻撃を彷彿させるそれは、『疾風のサバンナクロー』と呼ばれしフレンズの技であった。
 包皮でもって攻撃を受けたペニスーツマンは、擦過傷だらけとなり転げ回る。
「……内臓が疲れ切ってる……」
 皮一枚の守りはさほど意味はなく、相応のタメージを受けた様子であった。
「今だよ! みんなでトドメを!」
 フラフラとたたらを踏むペニスーツマンを追撃するべく、三人のプリキュアがスーツ姿の猥褻物を取り囲んだ。
「「「「キラキラキラルン、キラキラル!」」」」
 キュアホイップ・キュアカスタード・キュアジェラートが織りなす三色のクリームエネルギーがペニスーツマンを覆うと、やがてそれは『ケーキ』の形へと生成されていく。
 必殺の呪文が高らかに唱えあげられると、キラキラルに秘められし浄化の力がペニスーツマンの身体を駆け巡った。
「おおおおおおおおおチンポおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああうううううううううううちんぽおおおおおおお!!!『スペルマ流星群』ッッッ!」
 雄叫びと共に、ペニスーツマンが白濁の玉を亀頭部より打ち上げた。
 クリームエネルギーで生成された『ケーキ』を内側から破り、やがて上空まで達した白濁の玉が花火の如く爆ぜた。
 瞬間に、辺り一帯を塗り潰すかのような精液の豪雨が降り注ぐ。
「あわわわっ!?」
「ひぃっ!? 汚いですっ!」
「このぉ、なんてことしやがるんだ!」
「くさいよっ!」
 三人のプリキュアとサーバルは、その動物的な身体能力をフルに活用し、地面を穿つ勢いで降り注ぐ精液の豪雨を回避した。
しかし……
「みなさんっ! 一箇所に固まっては……! 」
 建物の中から戦いを観察していたかばんちゃんが叫んだときにはもう遅かった。
 ペニスーツマンは射精量を巧みにコントロールすることによって精液の豪雨を操り、サーバル達の動きを誘導したのである。
「これは虚無によって磨かれた我が魂の射精……

『咥え勃てよ、我が怒張(ブューチェ・ルチェケェ・モン・ペニス)』!」
 一箇所にまとめられた3人のプリキュアとサーバルへと、ペニスーツマンの切り札たる『宝具』が炸裂した。
 ペニススーツマンの亀頭部より放出された虚無の業火に、一同は身を竦ませる。
 迫り来る業火に気を取られた刹那、地面より湧き勃つ槍の如く鋭利なペニスの群れが、プリキュアとサーバルの身体を串刺しにした。
「……うぅぅ……」
 咄嗟に身をよじることで致命傷を避けたプリキュア達であったが、それでも被害は甚大だった。
「いたいよー……」
 特に負傷しているのは両脚を鋭利なペニスに貫かれたサーバルであった。
 その高い瞬発力やジャンプ力ぅも、今は活かすことは出来ないだろう。
「サーバルちゃん! みなさん、大丈夫ですか!?」
 ペニスーツマンの恐るべき力によってサーバル達が蹂躙されたという事実に、かばんちゃんは歯噛みする。
 何かいい作戦がないか必死に知恵を絞っていると、隣で戦いを見物していたケツデカピングーが突如身を乗り出した。
「この野郎醤油瓶…!」
 ケツデカピングーが啖呵を切り、ペニスーツマンと相対する。
 その視線の先には、傷を負ったキュアジェラートが横たわっていた。
 特に懐いていたあおい(キュアジェラート)を傷つけられたことに、ケツデカピングーは憤っているのだ。
「殺すわ……!(轢殺)」
 ケツデカピングーがその粘土のような身体をボール状に丸め、勢いよく転がりながらペニスーツマンへと突撃した。
「『タートルヘッドバット』!」
 ケツデカピングーは呆気なくペニスーツマンの鋼の亀頭部に弾かれ、『キラキラパティスリー』の壁へとペシャリと叩きつけられた。
「ハゲろ…ハゲろ…(陰口)」
「ペンギンさん、大丈夫ですか!?」
 悪態を吐きながらも、ケツデカピングーが立ち上がる。
 心配した様子のかばんちゃんが近寄ると、ケツデカピングーは激しく身振り手振りで何かを伝えようと動き回った。
「お慈悲^~……お慈悲^~……」
「えぇと、何がいいたいんだろう……これは、氷……?」
 ケツデカピングーが発狂したような身振りでキュアジェラートが生成した『氷壁』を指差していた。
『氷』がどうしても必要なのだと、かばんちゃんは読み取った。
「サーバルちゃん……ウサギさん、リスさん、ライオンさん……ちょっとだけ、待っててね」
 かばんちゃんは、背負っていた大きな鞄から一つの道具を取り出した。
「憎しみに囚われてくっせえちんぽを見失ってるんとちゃいますか?  ちんぽは常に君の股間にあ……ん???」
「えいっ!」
 かばんちゃんはパンフレットを折り曲げて作った『紙飛行機』を飛ばしていた。
 突然投げられた紙飛行機にペニスーツマンが気を取られている隙に、かばんちゃんは小走りでキュアジェラートのもとまで駆け寄った。
「ライオンさん、すみませんが、さっきのように氷を出すことはできませんか? もしかしたら、このピンチをひっくり返せるかもしれないんです!」
「……わかった……やってみるよ……」
 キュアジェラートが残った力を振り絞り、周囲に淡い水色のクリームエネルギーを撒き散らした。
 かばんちゃんは、あちらこちらに出現した小さな氷塊のうち、手頃なモノの氷柱を折りケツデカピングーの元に届けた。
「ライオンさんに作ってもらったけど、ここれでいいですか?」
「Here we go(承諾)」
 手渡された氷柱を手に取り、ケツデカピングーはキュアジェラートが生み出した氷塊へとを連続して打ち付けていく。
 キィーン……と澄んだ音が鳴り響いた。
 規則正しい法則によって奏でられるその音は……
「これは……『音楽』……? ペンギンさんは何を……?」
「雪の城もらえるまでまだ絆ポイント41万いるってウッソだろお前」
 かばんちゃんが放った紙飛行機は、ペニスーツマンの『おしっこレーザーカッター』によって撃ち落とされていた。
 ビクビクと脈動する亀頭部を差し向けられ、かばんちゃんが身構えた瞬間に異変が起こった。

 

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 魔神とでも形容すべき、醜悪なる存在『ケツデカ課長』がケツデカピングーの奏でる音楽に誘われ召喚されたのである。
「た、食べないでください……」
 それは、巨大なセルリアンにも勇敢に立ち向かったかばんちゃんでさえも腰を抜かす程の威容であった。
「めちゃくちゃジェイデッカー観たくなってきた」
 眼前に出現した脅威に、ペニスーツマンが射精せんと亀頭部の狙いをクソデカい顔面に定めた。
「もっとおちんちん舐めてぇ~(攻撃指示)」
 ケツデカピングーの指示のもと、ケツデカ課長はむんずとペニスーツマンを掴み取ると、その巨大な口で咥え始めた。
 スボボッッッ!!!と怪音を立てながら吸い込むケツデカ課長のバキュームフェラに、ペニスーツマンはなす術もなく搾り取られていく。
「……うぐぐ……精巣捻転・精索旋転・睾丸回転……」
 ペニスーツマンもさるもの、全身を舐るようにしゃぶられながらも金玉を高速回転させ、男性器破壊の呪詛を紡いでいた。
「『我が精巣は捻れ狂う(テスティキュラー・トライズン)』ッッッ!!!」
 ンアァァンッッッ!?という甲高い悲鳴がケツデカ課長から漏れ出た。
 ケツデカ課長は白濁とした粒子を撒き散らしながら、魔神の『座』とでもいうべき世界へと還っていく。
 ペニスーツマンをその口に咥えたままに。
「……今宵はこれにて大往生……」
 そんな台詞を残しながら、ペニスーツマンはケツデカ課長と共に虚無の彼方へと消え去った。

☆☆☆

「……何とか……追い払えたんだね……」
 ペニスーツマンが放った宝具『咥え勃てよ、我が怒張(ブューチェ・ルチェケェ・モン・ペニス)』により、満身創痍となっているプリキュア達であるが、どうにか一命は取り留めていた。
「ペンギンちゃんはすごいだね! あんなに大っきくて強いフレンズを呼び出せるなんて!」
「おちんちんしゃぶらせてください(混乱)!」
 サーバルに話しかけられたケツデカピングーは、何やら混乱している様子であった。
「どーしたの? えっ、うそ!? かばんちゃんっ!?」
 怪訝に思ったサーバルが視線を向けると、ケツデカピングーの近くでは、かばんちゃんが苦しげな表情で蹲っていた。
「かばんちゃんっ! 大丈夫!? ケガしちゃったの!?」
「……うぅ……」
 サーバルが心配気に声をかけるが、苦しそうな呻き声が返ってくるのみであった。
「どうしたの!? おまたのあたりが痛いの?」
「……うぅ……お、おちんちんのあたりが……捻れるように、痛いんです……」
 股間を抑えて蹲るかばんちゃんが絞り出すような声で呟いた。
「ど、どうしよう……ペロペロすれば治るのかな……?」
「ちょっと、待ってくださいっ!」
 オロオロと狼狽えるサーバルに、キュアカスタードの姿から戻ったひまりが声をあげた。
「捻れるような痛みと言いましたね? もしかしたら、精巣捻転症(せいそうねんてんしょう)かもしれません! 今すぐ救急車を呼びましょう!」
 博識なひまりによってかばんちゃんの病状は解明された。
 ペニスーツマンが最期に放った呪詛『我が精巣は捻れ狂う(テスティキュラー・トライズン)』。
 精巣捻転症を引き起こす呪詛は、ケツデカ課長のみならず、かばんちゃんにも影響を及ぼしていたのだ。
 すぐに駆け付ける救急車によってかばんちゃんは適切な処置を受けることができるだろう。
 精巣捻転を治療した後に、かばんちゃんとサーバルの旅は続く。
 キラキラ☆プリキュアアラモードとケツデカピングーの出会いを胸に秘めて、二人の旅はまだまだ続いていく。

 終わり。

ペニス―ツマン in アローラ 後編

 サカコは徐にスラックスのジッパーを下ろし、己の逸物をぼろんと出しながら宣言した。
「変身!」
 逸物から放たれる白濁とした閃光に包まれながら、その姿は異形へ変貌していく。
 身体には変化は見られず、依然きっちりとしたスーツが着込まれていた。
 しかしながら……その頭部が陰茎というか男性器というか亀の頭のような形状へ変化していたのである。
「我が名は哲学する男性器『ペニス―ツマン』……命をかけて、かかってこい!」
 突如出現した珍妙な姿形のモンスターを前に、幻と呼ばれるポケモンとも相対してきたミヅキ達でさえも息を飲んだ。
「うわわわっー!?」
「これは……ゾロアークの『イリージョン』のような幻惑効果か……いや、人間に『へんしん』していたとでもいうのか……?」
 ハウはただただ悲鳴を上げ、ククイ博士は何とか持ち前の知識で理解しようと試みている。
「……あの姿は……もしかして、お母様と同じ……」
 その異形は、リーリエの母親・ルザミーネが『ウツロイド』に寄生され融合した姿『マザービースト』を彷彿させた。
「これ以上の犠牲者を出さないためにも、わたし達でやっつける! アシレーヌ、『うたかたのアリア』!」
 顔を青くするリーリエを励ますように、ミヅキが力強くアシレーヌに指示を出す。
 アシレーヌは喉を震わせ歌唱し、水のバルーンの群れをペニスーツマンへ直撃させた。
……しかし
「インターネットでは冷静になったほうがいい」
 ペニスーツマンにはこうかはないみたいだ……。
「……どうしてっ!?」
「ガオガエン、『フレアドライブ』だ!」
「ジュナイパー、『リーフブレード』!」
 困惑するミヅキを援護するように、ハウとククイ博士がペニスーツマンへ追撃する。
 ガオガエンの炎を纏ったタックルとジュナイパーの葉っぱを束ねた剣がペニスーツマンへと叩き込まれる。
「カスが効かねえんだよ(無敵)」
 そのどちらも、こうかはなかった。
 驚愕に目を見開く三人だが、続けて指示を飛ばしていく。
「アシレーヌ、『ムーンフォース』で追撃!」
「ガオガエン、今度は『DDラリアット』で攻撃だ!」
「ジュナイパー、『かげぬい』を放て!」
 三種の技が直撃し粉塵が巻き起こるが、ペニスーツマンはポケットに手を突っ込みながら腰をカクカクと動かし挑発していた。
「頑張ってアシレーヌ、『ハイパーボイス』!」
「まだまだー、ガオガエン、『クロスチョップ』だ!」
「ジュナイパー、続けて『ブレイブバード』!」
「ファッ!?」
 声による振動波も十字に交差させた両手チョップも余裕をもって受け止めたペニスーツマンであったが、翼を折り畳み突撃するジュナイパーのひこう技『ブレイブバード』の直撃を受けた瞬間には、体をくの字に曲げながら吹き飛んでいた。
「『ブレイブバード』は通った……? ヌケニンの『ふしぎなまもり』のように、無力化できないタイプがあるということか!?」
 ポケモンの『わざ』の研究家であるククイ博士が分析を進める中、ミヅキが更なる追撃を加える。
「アシレーヌ、『サイコキネシス』!」
「ンアッー! 」
 アシレーヌが放った念動力波もまたペニスーツマンへ通じていた。
 甲高い叫び声を上げながら砂浜を転げ回るペニスーツマンを横目に、ククイ博士が一つの仮説を打ち立てる。
「みず、ほのお、くさ、フェアリー、あく、ゴースト、ノーマル、かくとうは効果がない……しかし、ひこうとエスパーの技は通じた……おそらくだが、ペニスーツマンは今までに戦った『キャプテン』や『しまキング』が得意とするタイプに耐性を身につけているはずだ」
 ククイ博士が唱えた仮説に、ミヅキとハウが困惑した様子で首を傾げる。
「えーと、どういうことー?」
「確かに、カヒリさんが襲撃されたとは聞いてないし、エスパータイプの『キャプテン』や『しまキング』はいないけど……」
「あとは、むし・どく・はがね・こおり・ドラゴンだね。ぼくの仮説が正しければ、これらのタイプの技であれば通用するはずだよ」
 思案顔で理解しようとするミヅキとハウへ、ククイ博士が補足した。
「だったらー、ガオガエン、『げきりん』!」
「ヒェッ!?」
 ドラゴンのオーラを纏ったガオガエンがペニスーツマンへと突貫する。
 情けない声を上げながら、ペニスーツマンは吹き飛ばされた。
「どうやら、仮説は正しいみたいだね?」
「私の『特性』を看破するとはお見事……しかし、その全てを理解している訳ではないようだ……」
 ペニスーツマンの不気味な呟きを振り切るように、三人は一気に勝負を決めにいった。
「アシレーヌ、『サイコキネシス』!」
「ガオガエン、そのまま『げきりん』だ!」
「ジュナイパー、『ブレイブバード』!」
 有効とされる三種のタイプの技を前に、ペニスーツマンは余裕の態度を崩さなかった。
「そんなんじゃ虫も殺せねぇぞォ!」
 しかし、こうかはないようだ……。
 先程の醜態が嘘のように、ペニスーツマンは平然と受け止める。
 その身体は、ヌラヌラとした透明な液体が太陽に反射し輝いていた。
「これぞ、我が『特性』……『カウパーバリア』! このペニスーツマンに同じ技は二度も通じぬっ!」
「馬鹿なっ!? たった一度でも技を受ければ、そのタイプに耐性を得てしまうとでもいうのか!? そんなデタラメな『特性』が存在するのか!?」
 ククイ博士が声を荒らげていた。
 ミヅキとハウも、その余りにも理不尽な能力を前に顔をしかめる。
「どうする……? 耐性を得てしまう前に、『いちげきひっさつ』で仕留めるしかしないか……? こおりタイプがまだ有効であるなら『ぜったいれいど』を当てれば……」
「『すなあらし』や『あられ』による天候効果によるダメージ……あとは『かたやぶり』や『いえき』等で『特性』自体を無力化するとか……?」
「でもー、おれ達のポケモン、そんな技覚えてないよー」
 ククイ博士とミヅキが何とか打開策を考えるも、ハウの指摘に閉口してしまう。
「さて……作戦会議は終わりましたかな? 今度はこちらからイキますぞ、『タネマシンガン(意味深)』!」
 ペニスーツマンの亀頭部から、子種(タネ)が連続して放射された。
「アォォン……!?」
「アシレーヌ!?」
 こうかはばつぐんだ!
『タネマシンガン』の弾幕を浴びたアシレーヌがビクビクと痙攣しながら大ダメージを受けた。
 悲痛な面持ちとなったミヅキが、やがて一つの決意をする。
「……リーリエ、お願いがあるの……」
「……ハッ!? はい、何でしょう?」
『どうみても精子です』と言いたげな表情で硬直していたリーリエが、ミヅキに声をかけられた事で我に返った。
「今からポケモンセンターに行って、1ぴきのポケモンを引き取ってきてほしいの……あいつに勝てるのは、もう『でんせつのポケモン』しかいないと思うから……」
 ミヅキの言葉の意図を察したリーリエが力強く頷いた。
「わかりました!『ほしぐもちゃん』ですね! 急いでとってきます!」
「お願い……それまでの時間は何とか稼いでみせる……!」
 ミヅキの宣言に続くように、ククイ博士とハウが複数のモンスターボールを取り出した。
ポケモンには様々な『わざ』があるんだ。どうにかしてみせるさ」
「がんばって時間かせぐからー、リーリエーもがんばってねー」
 ハウオリのビーチに砂塵が巻き起こる中、リーリエは走り出した。
 ミヅキ達とペニスーツマンの戦闘の激しさを背に感じながら、リーリエは懸命に駆けて行く。

☆☆☆

「フハハハハハハッッッ!『タネばくだん(意味深)』を喰らえ!」
「アマッ!?」
「そ……んな……」
 ペニスーツマンの笑い声が響き渡る。
 子種(タネ)の爆弾が炸裂し、長い美脚が特徴的なフルーツポケモン・アマージョは戦闘不能に追い込まれた。
 最後の手持ちポケモンを倒されたミヅキは……めのまえがまっくろになった。
「お待たせしました! 皆さん、大丈夫ですか!?」
 マスターボールを大事に抱えながら、リーリエがビーチへと戻ってきた。
 やがてリーリエは、白い砂浜に膝をつくミヅキと、同様の状態のハウとククイ博士の姿を目撃する。
「うそ……ハウさん……ククイ博士……ミヅキさんまで……」
 アローラ地方チャンピオン・ミヅキを筆頭に、彼女に匹敵する実力者であるククイ博士とハウが悉く敗れ去ったという事実にリーリエは驚愕する。
 そして、それ以上にリーリエは怒っていた。
「ひどいです! ひどすぎます! ポケモンさん達を必要以上に痛めつけて……それで、その、汚すなんて、ひどすぎる行為です!」
 ビーチに横たわるミヅキ達のポケモンは、どれも精液に塗れていたのである。
 それは、ポケモンバトルの領域を超えた陵辱的行為であるとリーリエは憤っていた。
 所謂『おこリーリエ』である。
「ならば、どうしますか?」
「こらしめてやります! 出てきて、『ほしぐもちゃん』っ!」
 たどたどしい挙動で、リーリエはマスターボールを投擲する。
「ラリオーナッ!!」
 太陽の使者として崇められし『でんせつのポケモン』が咆哮をあげながら降臨する。
 にちりんポケモンソルガレオ
 或いは『ほしぐもちゃん』。
 コスモッグの頃より、リーリエと共に冒険を繰り広げた仲間である。
「爆弾クンニリングス魔神、クサマンコ=ペロペロリーニョ様を信仰しなさい……!」
「ひぃっ!?」
 突如宗教めいたことを語り出したペニスーツマンにリーリエは悲鳴をあげてしまう。
 そんなリーリエを庇うように、ソルガレオは牙をむき出しに威嚇をした。
「……まっ、負けませんよ! ソルガレオさん、お願いしますっ!」
 リーリエの声に応じるように、ソルガレオは咆哮する。
 ソルガレオの額に紋章が浮かび上がり、その全身から太陽の如き閃光が放射される。
『ライジングフェーズ』と呼ばれし姿となったソルガレオが天高く跳躍した。
「射精するぞ(みたせ)。射精するぞ(みたせ)。射精するぞ(みたせ)。射精するぞ(みたせ)。射精するぞ(みたせ)。
 大自然に満ちる精力よ、我が睾丸へ集え……!」
 呪文めいた言葉を囁くと、ペニスーツマンもまたその姿を変貌させていく。
 アローラの大自然の力がペニスーツマンの金玉に集い、身体中を駆け巡る!
「……こ、これはナッシーさん……? いえ、まさか……!?」
 その姿は、リーリエに『ナッシーアイランド』で遭遇した『アローラのすがた』のナッシーを彷彿させた。
 胴体部はそのままに、亀頭部にあたる部分が異常なまでに伸びたアンバランスな造形。
 それは、アローラの大自然の力が生んだペニスーツマンの『リージョンフォーム』とも呼べる姿であった。
「ほ、本で読んだことがあります……男性の陰茎は勃起時に数倍以上に膨張するものであると……おそらく、これがペニスーツマンさんがゼンリョクした姿……なのでしょう……!」
 よくわからない解釈をしたリーリエが、真正面からペニスーツマンを見据えた。
「こちらもゼンリョクで応えるとしましょう! ソルガレオさん、『メテオドライブ』!」
「喰らいなさい、『ハイメガザーメン砲』!」
 ソルガレオが太陽の輝きを纏いながら、天降る隕石の如く突貫した。
 対するペニスーツマンもまた、伸びきった亀頭部の先端より、精液の奔流を射精する。
メテオドライブ』と『ハイメガザーメン砲』。
 二つのゼンリョクがぶつかり合い、時空を揺るがす程の衝撃が大気を震わせた。
 白濁とした閃光に呑まれ、たちまちリーリエは意識を失った。

☆☆☆

「リーリエ! 目を覚ましてっ!」
「うぅ……ここは……?」
 ミヅキの呼びかけに、リーリエは朧げに意識を覚醒させていく。
「……お気に入りのお洋服が……ベトベトです……」
 身体に違和感があり見下ろしてみると、そこにはベトベトした白い液体がぶっかけられていた。
「ペニスーツマンが撒き散らした白い汚いの、『ネバネバネット』みたいにくっついてなかなか落ちないの! 本当にメイワクだよね。何なんだろう、コレ?」
 気落ちするリーリエに賛同するように、ミヅキが声を荒らげる。
 無論、リーリエは『本で読みましたがこれは精子です』と即答できたが、口が裂けても言えなかった。
「あの、それで、ペニスーツマンさんは……?」
「大丈夫っ! リーリエとソルガレオが、ちゃんとやっつけてくれたよ!」
 ペニスーツマンがいなくなったことを確認したリーリエはひとまず安堵した。
「『メテオドライブ』は『特性』を無視して攻撃できる『わざ』だから、ペニスーツマンに有効だったんだろうね。いい選択だったよ、リーリエ」
「リーリエー、かっこよかったよー!」
 ククイ博士とハウが、頑張ったリーリエへと賛辞の言葉を送る。
「よかったです……! 皆さんがご無事で、本当によかった……」
 リーリエは太陽のように微笑みながら、アローラに平穏を取り戻したことを心の底から喜んだ。

☆☆☆

 淡い光を放つ結晶に照らされる薄暗い世界。
 そこは『ウルトラスペース』と呼ばれる異世界であった。
「なんやこの旧態依然とした化石企業は。全トイレ逆流して下総国ウンコカーニバル勃発してくたばれや。ハナクソがよぉ!」
 いちゃもんめいた言葉を垂れ流しながら、ペニスーツマンは『ウルトラビースト』と呼ばれしポケモン達を追いかけまわしていた。
 ソルガレオの『メテオドライブ』は、副産物として『ウルトラホール』を開く効果を持っている。
メテオドライブ』の直撃を受けたペニスーツマンは、開かれた『ウルトラホール』に咄嗟に身を隠すことで危機を間逃れたのである。
 辿り着いた『ウルトラスペース』は、ペニスーツマンにとってハーレムも同然の楽園であった。
 虫の類に欲情するペニスーツマンは、特に2匹のウルトラビーストに目をつけた。
 筋肉を見せつけるぼうちょうポケモン・マッシブーンとフェロモンを撒き散らすえんびポケモン・フェローチェ。
 逃げ回るマッシブーンとフェローチェに狙いを定め、ペニスーツマンはローションを手に取り叫ぶ。
「『アクセルローション』!

 知らなかったのか? ペニスーツマンからは、逃げられないっ!」
 ローションによる摩擦を軽減したことより生まれる超スピードで、ペニスーツマンは異形のウルトラビーストを性奴隷(なかま)にするべく追い立てる。
 薄暗い『ウルトラスペース』に、嬌声とも悲鳴ともいえない鳴き声が響き渡った。

ペニス―ツマン in アローラ 前編

 アローラ地方・アーカラ島。
 世界的に有名なリゾート地とされるハノハノビーチに、夜の帳が下りていた。
 日中は太陽に眩く照らされている純白の砂浜も、今は漆黒に染まっている。
 さざ波が静かに打ち寄せる中、闇に紛れるように一人のスーツ姿の男が佇んでいた。
「とうとう見つけたぞ。お前だな、近頃『島巡り』を荒し回っているというやつは」
 引き締まった上半身をさらけ出した、浅黒い肌の青年が語りかけた。
 アーカラ島の三人の『キャプテン』の一人、ほのおポケモンの使い手・カキである。
「誤魔化したってムダですよ。このアローラ地方で、そんなにキッチリとしたスーツを着てる人なんて、そうは居ないのですから」
「ライチさんを傷つけたこと、きっちりとお返しするんだからっ!」
 青色の髪の襟足が跳ねたショートヘアの少女・スイレン
 緑色の髪と大きな花飾りが特徴的な少女・マオ。
 残る二人の『キャプテン』の少女達もまた、スーツ姿の男を取り囲むように立ち塞がる。
「サカノウエ・サカコと申します。またの名を、哲学する男性器『ペニスーツマン』……」
 スーツ姿の男・サカコが堂々と名乗りを上げた。
 困惑する三人の『キャプテン』達を余所に、サカコは徐にスラックスのジッパーを下ろし、己の逸物をぼろんと出した。
「変身」
 突然の露出行為にひぃっ!?と悲鳴を漏らす少女達に構わずサカコが宣言すると、その逸物から神々しい光が放たれた。
 白濁とした閃光に包まれながら、その姿は異形へ変貌していく。
 身体には変化は見られず、依然きっちりとしたスーツが着込まれていた。
 しかしながら……その頭部が陰茎というか男性器というか亀の頭のような形状へ変化していたのである。
「ペニス―ツマン、爆現」
 眼前で出現した珍妙な姿形のモンスターに、様々なポケモンと相対してきた『キャプテン』達でさえも言葉を失っていた。
「……ポケモンとは程遠い異形……まさかお前が噂の『ウルトラビースト』とかいう存在なのか……?」
「ウルトラビースト先輩……」
 辛うじて口を開いたカキが困惑の言葉を浮かべ、対峙するペニスーツマンが曖昧な言葉を返す。
「……オォン!」
 やがてペニスーツマンはビクビクとその亀頭部を震わせ、三人の『キャプテン』を威嚇し始めた。
「頼むぞ、エンニュート!」
「お願いします、ヨワシ!」
「行っけぇ、ラランテス!」
『キャプテン』達は即座に、各々が鍛え、育て上げた『ぬしポケモン』と呼ばれる切り札を繰り出した。
 どくトカゲポケモン、エンニュートが喉を震わせ
『海の魔物』と恐れられる『むれたすがた』のヨワシが咆哮し
 鎌状の花びらを振りかざしながら、ラランテスが威嚇する。
「アローラを脅かす脅威……ここで排除させてもらう! エンニュート、『はじけるほのお』!」
 ヴェラ火山公園の『ぬしポケモン』、エンニュートが業火を吐き出した。
「アツゥイ!」
 直撃を受けたペニスーツマンは炸裂した炎に弾かれ、砂浜を転げ回る。
「ずいぶんとイキのよさそうな珍種ですね。ヨワシ、『みずてっぽう』で追撃を!」
 せせらぎの丘の『ぬしポケモン』、ヨワシが激流を放射した。
 特性『ぎょぐん』により『むれたすがた』となっているヨワシの『みずてっぽう』は『ハイドロポンプ』を凌ぐ威力を誇ると言われている。
「溺れるっ!溺れるっ!」
 激流に呑まれたペニスーツマンが奇声を上げながらのたうち回る。
「ラランテス! トドメの『ソーラーブレード』!」
 シェードジャングルの『ぬしポケモン』、ラランテスが光を束ねた斬撃を打ち放つ。
「……アーイキソ」
『パワフルハーブ』により力を溜める隙を補いながら繰り出した『ソーラーブレード』に引き裂かれ、ペニスーツマンは何やら諦めの言葉を呟いていた。
 ペニスーツマンの身体は軽々と吹き飛ばされ、ハノハノビーチの一角に大きな砂塵を巻き上げた。
「やったぁ! 」
 確かな手応えを感じ、マオが歓喜の声を上げる。
「気を抜くな。アレが何であれ、悪さをするならばオレ達で『捕獲』しなくてはならない」
「どうぞどうぞ。あいにく、わたしはみずポケモン専門なので」
 スイレンの軽口に頭を掻きながら、カキはペニスーツマンの元へと歩み寄っていく。
 エンニュートを傍らに携え、油断なくモンスターボールを構えながら近づくと
「『(スペルマ)りゅうせいぐん』!」
 ペニス―ツマンが突如、攻撃を繰り出した。
 その頭頂部から打ち上げた白濁の玉が花火の如く爆ぜ、ハノハノビーチを塗りつぶすように精液の隕石が降り注いだ。
 白濁の隕石群の直撃により、砂浜は視界を覆い尽くす程に巻き上げられた。
「な、何が起きたんだ……!?」
 ペニスーツマンの反撃により、状況は一変していた。
 突然生じた事態に驚愕しながらカキが周囲を見渡すと、傍らでは相棒のエンニュートが精液に塗れた状態で横たわっていた。
「馬鹿なっ! エンニュート!?」
「鍛えに鍛えあげたヨワシが……そんな……」
「ラランテス! お願い、目を覚ましてっ!」
 ペニスーツマンの『りゅうせいぐん』の一撃で、『キャプテン』達が誇りし三匹の『ぬしポケモン』は全滅していた。
「ドキッ☆加藤智大だらけの水泳大会!」
 ペニスーツマンが陽気な声で、意味不明な台詞を叫ぶ。
 カキ・スイレン・マオは怒りのままにモンスターボールを取り出した。
「出てこい、ガラガラ!」
「お願いっ、オニシズグモ!」
「仇をとって、アママイコ!」
『キャプテン』達は手持ちの中から最も高レベルのポケモンを繰り出した。
『アローラのすがた』のガラガラが炎を宿した骨を振り回し
 オニシズグモが頭部の水泡を震わせ威嚇し
 アママイコが可愛らしい顔で精一杯にらみつける。
「『ぬしポケモン』でさえも一撃でやられたんだ。出し惜しみは無しで行くぞ!」
 カキの言葉の意図を察した二人の少女は静かに頷いた。
 カキ・スイレン・マオのZクリスタルが光り輝く。
 カキは燃え盛る炎を模した踊りを
 スイレンは揺蕩う水面を模した踊りを
 マオを咲き誇る花を模した踊りを
 それぞれが捧げた。
 三人の『キャプテン』達の『ゼンリョクポーズ』に共鳴するように、ポケモン達がZパワーを身体にまとっていく。
 ガラガラ・オニシズグモ・ラランテスが解き放つ全力の『Zワザ』!
「『ダイナミックフルフレイム』!」
「『スーパーアクアトルネード』!」
「『ブルームシャインエスストラ』!」
 三種の『Zワザ』が炸裂し、夜のハノハノビーチの一角は眩く照らされた。

☆☆☆

 メレメレ島・ハウオリシティ。
 アローラ地方に建設されたポケモンリーグ
 その初代チャンピオンとなった少女・ミヅキは、リーリエと共にショッピングエリアへ訪れていた。
 長い金髪をポニーテールに結び、動きやすそうなミニスカートを履いた通称『がんばリーリエ』スタイルのリーリエであるが、その表情には影が落とされていた。
「わたし……心配です……『しまキング』さんや『キャプテン』さんが次々とやられてしまうなんて……」
 アローラ地方に突如出現した『スーツ姿の男』。
 その男が『しまキング(クイーン)』や『キャプテン』といったポケモンバトルの達人達を手当たり次第に襲い回っているという。
 ポニ島・ウラウラ島・アーカラ島の実力者はあらかた駆逐されているため、『スーツ姿の男』は残るここメレメレ島に現れるであろうと予想されていた。
「大丈夫。わたしはそう簡単にやられたりなんてしないよ」
 赤いニット帽がトレードマークの少女・ミヅキがにっこりと微笑んだ。
 数々の冒険を共に繰り広げ、多くの強敵達を打ち破り、最期にはアローラ地方のチャンピオンにまで登りつめた少女を、リーリエは心の底から信頼していた。
 それでも、心に突き刺さるような不安は拭えない。
「気をつけてください、ミヅキさん……いやな予感がするのです……その、噂で聞いた『向こうの世界』と関係する何かがやってきているのかもしれませんし……」
「大変だよぉー!!!」
 リーリエの言葉を、突如来訪した少年の声が遮った。
『島巡り』の冒険仲間の一人、ほがらかな笑顔が特徴的な少年・ハウである。
 しかし、その表情は珍しく焦燥した様子であった。
「じいちゃんがー! じいちゃんがやっつけられちゃったんだー! あとイリマさんもー!」
 ハウの言葉に、ミヅキとリーリエは驚愕に目を見開いた。
 ノーマルタイプの使い手、メレメレ島の『キャプテン』イリマ。
 そして、『しまキング』かつ『してんのう』の一角をも担う実力者であるハラが敗北したという事実に、ハウは悔しそうな面持ちで続ける。
「おれ、悔しいよー……じいちゃんのカタキをうちたい……だからさー、ミヅキも手伝ってー!」
「うん……わかったよ!」
 ミヅキは二つ返事で引き受けた。
 アローラの初代チャンピオンとして、これ以上の犠牲者が出るのが許せなかったのである。
「わたしも協力させてください! この通り、スプレーやお薬なら、たくさん持っていますからっ!」
 リーリエもまた、多種多様などうぐが収まっている赤いリュックサックを見せつけながら宣言する。
「ありがとー、リーリエー! さっそくだけど、なんかビーチの方で騒ぎが起きてるみたいだから、一緒に来てー!」
 ハウに先導される形で、ミヅキ・リーリエはブティックを去り、ビーチサイドエリアへと駆け出した。

☆☆☆

「なにやってんだ、グズマァァァアア!」
 真昼のビーチに一人の男の叫びが轟いた。
 元スカル団ボス・グズマの咆哮である。
 隣りにはエースポケモンであるグソクムシャが倒れ伏している。
「このおれが……よりにもよって『むしポケモン』使いにやられるとはな……」
 忌々しげな視線を送りながら、グズマが呟く。
 その眼前には、スーツ姿の男・サカコが虚空を見つめながら突っ立っていた。
「あーっ!『スーツ姿の男』ー! じいちゃんのカタキ、見つけたぞーっ!」
 ハウの大声に反応し、サカコはゆったりと視線を向ける。
「あのグズマがやられるなんて……」
 次いで駆けつけてきたミヅキが、険しい顔で言葉を漏らした。
 元スカル団ボス・グズマが『キャプテン』や『しまキング』にも引けを取らない実力者である事は、実際に手合わせした彼女自身が最もよく知っていた。
「ミヅキさん、ハウさん……お気をつけて……あの、ポケモンさん達をげんきにしましょうか?」
 リーリエが遠慮気味に声をかけるが、ミヅキは視線で下がるように伝えた。
 やがて、モンスターボールを手にした二人がサカコの前へと立ち塞がった。
「……サカノウエ・サカコと申します」
「おれはハウ! おまえがやっつけた『しまキング』ハラの孫だよー! じいちゃんのカタキ、とらせてもらうからねー!」
 丁寧に自己紹介するサカコを相手に、ハウは闘志をむき出しに応じる。
「あなたがアローラを荒し回っている『スーツ姿の男』なの?」
 ミヅキが単刀直入に切り出すと、サカコはクネクネと身を捩らせながら、二つのモンスターボールを取り出した。
「いかにも……! 一人一人相手をするのも面倒です。二人同時に、かかってきなさいっ!」
 サカコの挑発的な宣言に呼応するように、ミヅキとハウはポケモンを繰り出した。
「出てきて! ドデカバシ!」
「いっけぇ! ライチュウ!」
 その名の通り巨大な嘴が特徴的なとりポケモン・ドデカバシとサイコパワーで宙に浮いてる『アローラのすがた』のライチュウがペニスーツマンと対峙する。
「スピアー! アブリボン! 膣内(なか)で出すぞっ!」
 謎の口上と共に、サカコは2匹のむしポケモンを繰り出した。
 なお、ミヅキとハウは意味がわからず首を傾げているが、リーリエは顔を真っ赤に染めながら俯いていた。
「あの黄色いのはアローラではみないポケモンだねー?」
「あれはスピアーだよ。カントーに住んでたときに見たことがある。たしか、『むし』と『どく』タイプのポケモンだったと思う」
 ハウに視線で合図を送りながら、ミヅキが答える。
「……そっかー。うん、わかったよ! ライチュウ、スピアーに『サイコキネシス』!」
「ドデカバシ! アブリボンへ『ドリルくちばし』!」
 念動力波がスピアーを襲撃し、ドリルのように回転する嘴がアブリボンの小さな体を穿つ。
 こうかはばつぐんだ!
 ミヅキとハウは、各々のポケモンに的確に弱点を突かせる指示を下した。
「スピアー、『こうそくいどう』……アブリボン、『ちょうのまい』……」
 スピアーが翅を高速で羽ばたかせ、アブリボンが神秘的な舞を踊り、すばやさ等の能力値を上昇させていく。
「積んできた……一撃で倒せると思ったんだけど、ずいぶんと育て上げているみたいだね……」
 ミヅキが思わず漏らした感嘆の言葉にも反応せず、サカコは淡々と指示を下していく。
「スピアー、『ドリルライナー』」
ライチュウ、もう一度『サイコキネシス』だ!」
 眼にも映らぬ超スピードで迫り来るスピアーが、ドリルのように回転しながら毒針をライチュウへと突き刺した。
 きゅうしょにあたった!
 こうかばつぐんだ!
 スピアーの特性『スナイパー』の効果により、その威力は激増された。
 その一撃は、ハウが育て上げたライチュウをも容易くひんし状態へせしめた。
「うわぁ! ライチュウーっ!」
 慌てて駆け寄るハウを他所に、サカコが更なる指示を飛ばす。
「アブリボン、『しびれごな』」
「まひ」状態を引き起こすアブリボンの鱗粉がドデカバシへと降りかけられる。
 しかし……
 ドデカバシはミヅキを心配させまいと、気合で「まひ」を治した!
 トレーナーとの絆の力は、ときに何よりもポケモンバトルの行方を左右させる。
「ドデカバシ、『はがねのつばさ』!」
 ドデカバシの鋼の如く固めた翼がアブリボンへと叩きつけられる。
 こうかばつぐんだ!
 アブリボンもまたひんし状態となり崩れ落ちた。
「……じゃあ私アブリボンで普通にシコるね」
「これでお互いに残り一体、だね」
 サカコの言葉の意味が理解できず怪訝な表情となるが、ミヅキは構わずに続けることにした。
 すると、サカコは徐にネクタイを緩め始めた。
「ギアをあげていくぞっ!」
 スピアーのスピアナイトとサカコのメガストーンが反応した!
 ネクタイに埋め込まれたメガストーンが輝き、スピアーは共鳴するように眩い光を纏っていく。
 六枚に分割された翅に五本に増えた凶悪なる毒針。
 全体的にシャープなフォルムとなったその姿は紛れもなく、スピアーが『メガシンカ』した姿、メガスピアーであった。
「これは……『メガシンカ』だな。ミヅキ、気を引き締めてかかれよ!」
 いつの間にか現れた男がミヅキに檄を飛ばした。
 鍛え上げた上半身に白衣を羽織った独特のファッションが特徴的な『ポケモンはかせ』・ククイ博士その人である。
「ククイ博士……わかりました。ドデカバシ、『くちばしキャノン』準備開始!」
 ミヅキの指示を受け、ドデカバシは嘴を加熱し始めた。
メガスピアー、『どくづき』」
 サカコが抑揚のない声音で指示を下す。
 メガスピアーが猛毒に染まった針を突き刺すも、ドデカバシは真っ赤に加熱した嘴で受け止めた。
 メガスピアーは加熱中の嘴に接触したことにより「やけど」を負い、ドデカバシは「どくづき」の追加効果によって「どく」状態となった。
「いけっ!『くちばしキャノン』、発射!」
 ミヅキの掛け声と共に、ドデカバシの嘴の中で加熱されたエネルギーが一気に解放され、メガスピアーに襲いかかった。
「……残像だ」
 メガスピアーはサカコの指示に息を合わせて技をよけた!
 サカコもまたポケモンとの絆の力を見せつける。
「スキの多い技じゃあ避けられちゃう……ドデカバシ、最速最短で『ドリルくちばし』!」
メガスピアー、『シザークロス』」
 ドリルのように旋転させたドデカバシの嘴と鋏のように交差させたメガスピアーの毒針が、真正面から激突した。
「シザークロス」はドデカバシにとって「こうかはいまひとつ」となる技であるが、メガスピアーの特性『てきおうりょく』によってその威力は底上げされていた。
 何とか耐えていたドデカバシであったが、やがて「どく」のダメージに身体を蝕まれ、白い砂浜へと倒れ込んだ。
「うそ……『やけど』を負っていたのに、何て威力……」
 ぶつり技の威力が下がる「やけど」状態でドデカバシを退けたメガスピアーの力に、ミヅキは驚愕の声を漏らす。
 そんなメガスピアーもまた、「こうかばつぐん」となるひこう技を受けた上で「やけど」によるダメージが回り、ひんし状態となり倒れた。
「お見事……残りのポケモンは1体ですが……この場にいる全員でかかってくるのが良いでしょう。誰にも『ペニスーツマン』は止められないのですから……!」
 サカコの挑発的な言葉に、ククイ博士は不敵な笑みを浮かべる。
「ほぉ……それは、ぼくも参戦していいってことかな? あとで『いちゃもん』つけたって、聞かないからね?」
 ククイ博士はモンスターボールを取り出しながら、好戦的な視線をサカコへ注ぐ。
「おれだってー、まだまだ負けてないんだからねーっ!」
 ハウもまた、闘志を燃やしながら声を上げる。
「随分と強気なようだけど、『でんせつのポケモン』でも持っているのかな? それとも『ウルトラビースト』を捕獲したとか? 悪いけど、そのどちらとも、わたし達は渡り合っていたんだからねっ!」
 ミヅキの宣言を合図に、ククイ博士とハウがモンスターボールを投げる。
「お願いっ! アシレーヌ!」
「いっけぇ! ガオガエン!」
「頼んだよ! ジュナイパー!」
 人魚を彷彿させる姿のソリストポケモン・アシレーヌ
 眩く燃える炎のベルトが特徴的なヒールポケモン・ガオガエン。
 百発百中のアーチャーと呼ばれし矢羽ポケモン・ジュナイパー。
 ミヅキ・ハウ・ククイ博士は最も付き合いが長い、パートナーとも呼べるポケモンを繰り出した。
 対するサカコは徐にスラックスのジッパーを下ろし、己の逸物をぼろんと出しながら宣言する。
「変身!」
 逸物から放たれる白濁とした閃光に包まれながら、その姿は異形へ変貌していく。
「我が名は哲学する男性器『ペニス―ツマン』……命をかけて、かかってこい!」

 アローラ地方に君臨せし怪人『ペニス―ツマン』との激闘は続く。

ペニス―ツマン VS 2016年春アニメキャラ 最終話

「逃げなくちゃ……逃げなくちゃ……」
「晴風」の艦橋にて、航海長・知床鈴(しれとこりん)が涙目で操舵輪を握っていた。
「生きることから逃げなくちゃ……!」
 涙で溢れた瞳は、『虚無』で染まっていた。
「晴風」を沈めるべく、鈴は暗礁に向けて舵を切る。
「生きることから、逃げちゃ駄目だよ」
 背後から光宗が優しげに声をかけた。
 ひぅ……と悲鳴を漏らす鈴に対し、光宗が続ける。
「君がどんな『ナナキ』……トラウマを抱えているのかはわからないけど……それはちゃんと受け入れないといけないものなんだよ」
 光宗の言葉に、操舵輪を回す鈴に動揺が走った。
「私はね……その、よく『即席占い』みたいのことをしてたんだけど……」
 鈴の手を優しく握りながら、真咲が語りかけた。
「『横断歩道の白いとこだけ歩いて渡れたら風邪ひかない』みたいな感じでね……何かが出来なかったら、不幸になってしまうって思い込んでたの……」
 首を傾げる鈴に対して、真咲は微笑みながら
「でもね、何かを達成できれば、幸せになれるって考えれば、前向きになれると思うんの……例えば『今、戦っている人達が怪物に勝てるかどうか』で占ってみるとか」
「だって……でも……勝てるはずないです……みんな、みんな、やられちゃっているんです!」
 涙目で反論する鈴に対し、光宗と真咲が首を振る。
「全てを諦めるのは戦いを見届けてからでも、遅くはないよね?『ナナキ』よりも恐ろしい怪物を、あの人達は確実に追い詰めてる」
「一緒に勝つ方に賭けましょう。その方がきっと、ここで投げ出すよりも幸せになれるから」
 二人の言葉に、鈴は泣きながら崩れ落ちた。
 真咲が彼女の頭を撫でながら介抱しているのを見届けて、光宗は心の中でひとり呟く。
(僕は信じる。どんな『ナナキ』よりも醜悪なあの怪物を、みんなで力を合わせれば必ず倒すことが出来るって)
 艦橋から戦場となっている甲板を見下ろしながら、光宗もまた『勝利』に賭けた。

☆☆☆

「ゼロシステムがあればアニメキャラの無限のスケベな可能性を見ながら常人では耐えられないGがかかるオナニーを遂行できる」
 淡々と宣言するペニスーツマンを、スバルとエミリア・キュアミラクルキュアマジカルの四人が絶望的な眼差しで見つめていた。
 番場宗介の『影鰐』の腹の底よりあっさりと帰還した異形を前に、彼らは対抗策を失っていた。
 比類ない物理的な頑強さを誇り、その上『魔法』の類は『カウパーバリア』によって無力化される。
 特に後者は『魔法つかい』と『精霊使い』にとって致命的ともいえる特性であった。
(……考えろ……考えろ……何か、何かあるはずだろうがっ! ここまでアイツを追い詰めたってのに、これじゃあ、また無駄死になっちまうじゃねぇか!)
 スバルがこれまでのループの経験を反芻しながら必死に対抗策を考えている中、ペニスーツマンは気にせずに『ペペローション』を取り出した。
「『アクセルローション』!」
 雄々しく宣言しながらオレンジ色の容器を握り潰し、ペニスーツマンがローションを全身に浴びる。
 ローションによる摩擦の軽減から生まれる超スピードで、ペニスーツマンが容赦なく突貫した。
「ヌッッッ!?」
 ペニスーツマンは何かを足を取られてすっ転び、超スピードでドンガラガッシャンと瓦礫を巻き上げながら甲板を転がっていった。
「あ、アンタは……」
「『足元がお留守だぜ』って一回は言ってみたい台詞だよな?」
 膝丸燈が『大蓑蛾』の『糸』をもって、ペニスーツマンの足元を掬ったのであった。
 憔悴した様子で身体を引きずりながらも、燈はスバルへと問いかける。
「なぁ、その女の子達の『魔法』を打ち込めば、本当にあの化物を倒せるのか?」
「あ、あぁ……そのはずだったんだけど……アイツには……」
「要はヤツの汚ねぇ『ガマン汁』を取っ払えば、その『魔法』とやらが通じるようになるんだろう?」
 ミッシェル・K・デイヴスが引き継ぐように言う。
 黙って頷くスバルと『プリキュア』の少女達の元に、多数の人影が募っていく。
「……もう残された手立てはこの子達の『魔法』しかねぇ! そのためには、アイツを丸裸にする必要があるんだ!」
「なら、そのための露払いは任せろ」
『異世界人』達の意思が一つに統合された。
 ペニスーツマンという脅威を打倒するために。
「全てうやむやにしたい……『インセクト・エジャキュエーション』ッ!!!」
 燈とミッシェルの変態した姿をオカズに、ペニスーツマンが最大級の射精を放つ。
「「『共振(レゾナンス)』!!!」」
 焔魔堂ろくろと化野紅緒が手を繋ぎ合いながら、一つの霊刀を振るう。
双星の陰陽師』に受け継がれし秘術『共振』。
 互いの呪力を重ね増幅させる秘術をもって、二人は莫大なる呪力を込めた霊刀を振るい、『インセクト・エジャキュエーション』を切り裂いた。
 精液を浴びて失神したろくろは兎も角、まんこを破壊された紅緒が動ける理由。
 それは……
「……ざまぁ……みやがれ……」
 精巣を捻転され、『ハイメガザーメン砲』の直撃を受けた東方仗助が、気力を振り絞り立ち上がっていた。
 仗助が『クレイジー・ダイヤモンド』の能力をもって、ペニスーツマンとの戦いの中負傷していった『異世界人』達を治療していたのである。
「す、すごい……」
「さぁ! コレでHPを回復させてください! 最後にとっておいた虎の子の回復アイテムですよ」
「お前達が最後の希望だ。遠慮なく使ってくれ」
 呆気に取られながら陰陽師達の活劇を見守っている『プリキュア』の二人に、鬼斬の姫君・静御前義経が声をかけた。
 ミラクルとマジカルが手渡されたソウルエッグ(回復アイテム)を手に取り、眩い光に包まれていく。
「癒しの魔法が込められているのね! 助かるわ!」
「私のマナも使って。もどかしいけど、私も少しでも役に立ちたいの」
 エミリアの掌から注がれるとマナの光を受け、二人の魔力が充填されていく。
「アイツの真の恐ろしさは『免疫力』にあるんだ……一定以上の攻撃を受けると、その性質に対して耐性を得てしまう……それでも……」
 ペニスーツマンと相対する緑谷出久が、ブツブツと念仏のように呟く。
「『DELAWARE SMASH』ッ!」
「『エコーズ』ッ!」
『ワン・フォー・オール』により生み出された衝撃波と『エコーズ』の尻尾文字がペニスーツマンに打ち込まれる。
 無論、『個性』と『スタンド』に対して耐性をつけたペニスーツマンの『カウパーバリア』によって容易に防がれる。
「『スタンド』が効かないのは折り込み済みだよ。それでも本当に、君は『無敵』なのかな?」
「おまんこの食い上げだ~」
 広瀬康一が不敵な表情で語りかける。
 上機嫌のペニスーツマンが無視しながら反撃に転じようとした瞬間に、その身体がパパパパン!と弾けた。
「今のは『魔法』でも『超能力』でもない。唯の『科学反応』だよ、クソッタレ」
 ミッシェルが見下しながら宣言する。
『爆弾蟻』が産み出す揮発性の液体をプロレスにおける『毒霧』のように吹きかけたのである。
 出久と康一の攻撃に気を取られていたペニスーツマンは呆気なく直撃を受けていた。
「状況によっては、原始的な武器の方が効果をあるということだ! やれっ、無名!」
「この距離なら外さないよ」
 生駒が大量の『自決袋』を投擲し、無名の蒸気銃による狙撃が着火させていく。
 指向性爆弾の爆撃を受け、ペニスーツマンの『カウパーバリア』は全て剥がされた。
「今だっ!『彗星ホームラン』っ!」
 麗日お茶子が破損した艦砲の砲身をバットのように振り回し、ふわふわと浮かぶ瓦礫群を打ち飛ばした。
『無重力』によって浮かされた瓦礫の雨がペニスーツマンを襲撃し、その身体を軽々と吹き飛ばした。
「責任重大だね、マジカル」
「わたし達なら、きっとできるわ。いくわよ、ミラクル」
 真摯な表情で語りながら、二人の『プリキュア』は飛んでくるペニスーツマンへとリンクルステッキを掲げた。
「「リンクルステッキ・ダイヤ! 永遠の輝きよ、私たちの手に!」」
 リンクルストーン・ダイヤが装着され、リンクルステッキに光の力が巡っていく。
「「フル、フル、リンクル!」
 ミラクルとマジカルがステッキを振るうと、ダイヤモンド状の魔法陣が二人の眼前に現れる。
「それでもあぁーーーー!街はぁーーーーーーーーーー!!」
 最後の足掻きのようなものなのだろう。
 ペニス―ツマンは叫び声を上げながら、金色の光に包まれていく。
 その姿は『怒りのハイパーモード』。
 全ての能力が893倍に増幅されるという恐るべき形態である。しかし、代償として前立腺の感度が334倍になってまうという欠点も持つ、諸刃の剣ともいうべき姿であった。
 ペニスーツマンが空中で体勢を立ち直し、亀頭部をミラクルとマジカルの二人へと差し向け、精液の奔流を放たんとする。
「『ハイメガザーメン……」
「『シャマク』っ!」
 瞬間、ペニスーツマンの視界は暗闇に閉ざされた。世界の形も、色も臭いも、一切の感覚が封じられていく。
 それは、スバルが唯一習得した『魔法』であった。
 陰魔法『シャマク』。
 かつて魔獣ウルガルムを翻弄したときのように、スバルはここ一番で最大の切り札を使用した。
 スバルを中心に生成された黒雲の中で、ペニスーツマンはほんの数秒間、膠着した。
 そんな僅かな時間が決め手となった。
『『プリキュア・ダイヤモンド・エターナル!』』
 最初にペニスーツマンは巨大なダイヤモンドの中に捕らわれた。
 二人の掛け声を合図に、ダイヤモンドはペニスーツマンを載せて遥か上空まで射出。
 光の尾を引きながら成層圏まで達し、外気圏を悠々と突き抜けていく。
 宇宙空間を突き進み、太陽系を外れ、天の川銀河からも抜けていく。
「ほな………」
 宇宙の彼方まで運送されたペニスーツマンが明確な『死』を覚悟した。
 瞬間、ダイヤモンドはビックバンの如き大爆発を引き起こし、宇宙の片隅に豪奢な花火のような閃光が瞬かせた。
 金魔法『ダイヤモンド・エターナル』。
 みらいとリコが『プリキュア』として覚えた最初の『魔法』である。
「本当にお星様になっちゃった……」
「永く生きているけど、こんな『魔法』を見たのは初めてだよ……」
 エミリアを初めとした『異世界人』達は、想像を遥かに超えた『魔法』の威力を天を仰ぎながら見届けていた。
 世界を滅ぼす力を秘める『終末の獣』・パックすらもドン引きさせる『魔法』を放った張本人の二人は、脱力しながら甲板に倒れ込んでいた。
「やったね、リコ?」
「みんなが力を貸してくれたおかげよ。これで、ようやく一安心ね」
 変身が解除され、ただの女子中学生へと戻ったみらいとリコが微笑みながら語り合う。
「あぁ、ようやく一安心だよ……本当に、本当に長かった……」
 幾度なくペニスーツマンに挑んでは敗北してきた記憶を持つスバルが、感慨深く呟いた。

☆☆☆

 其処は、霧の深い森であった。
 得体の知れない果実がなる森林は、何処か異世界じみた雰囲気を醸し出していた。
「……2時間半くらい気絶してた」
 ペニスーツマンが一際大きな樹木に背を預け、身体を休めていた。
 その股間には、『黄金の果実』が眩く輝いている。
 絶体絶命の危機の中、ペニスーツマンは『鎧武』の世界で獲得した『オーバーロード』としての能力を使い『クラック』を展開、間一髪『ヘルヘイムの森』へと避難したのであった。
「本気のキモオタおたおたレイプ見せてくれよ……!」
 言いながらペニスーツマンは再び『クラック』を展開する。
 空間に生じた裂け目からは、青い地球が覗いていた
「『スペルマ流星群』のバリエーション……『プラネット・レイプ』!」
『クラック』へ向け、ペニスーツマンは星一つ孕ませる程のザーメンを射精した。
 直後に、ペニスーツマンとしての姿すら維持できなくなり、坂上逆孤が樹木の側にドカっと倒れ込んだ。
「……2日連続でシコってしまったため明日は反動で廃人になる」
 酷く憔悴した様子で、坂上が呟いた。

☆☆☆

「皆さん、本当にありがとうございました! 感謝の言葉もありません!」
「晴風」艦長・岬明乃が船員達を甲板まで引き連れていた。
 その全員が深々と頭を下げ、感謝の意を示している。
「いやぁ……俺達の身を守るためでもあった訳で……」
 何となく代表者になっているスバルが頭を掻きながら言葉を濁していると……
「晴風」の船体に影が落ちた。
「……な……なん、だ……?」
 スバルが怪訝な表情で空を見上げると、空を覆い尽くすかのように広大な巨大な『白濁の塊』が落下していた。
 理性が理解を拒み、思考が静止していく。
 ペニスーツマンの攻撃であると受け止めるのに、スバルは数秒程の時間を要した。
「さ、坂上ェェェェッッッ!!!」
 スバルが天に向けて咆哮する。
 同時に、『魔法』や『スタンド』、『個性』に『陰陽術』。
 あらゆる異能で『異世界人』達が『白濁の塊』を迎撃しようと試みるが……
 全ては無為に終わり、陽炎型航洋直接教育艦「晴風」は精液の直撃を受け、粉微塵に爆散した。

☆☆☆

 次の瞬間、スバルは硬い甲板の上で目を覚ました。
 寝起きのよさには定評があるスバルは瞬時に意識を覚醒させ、周囲を見渡した。
 そこは紛れもなく「晴風」の甲板ではあるが、先程まであった戦闘の痕跡は一切ない、綺麗に手入れの行き届いた甲板であった。
「畜生ォ……また、戻っちまったのか……!」
 ガンッ!床に拳を叩きつけながら、スバルが憎々しげに呟いた。
『死に戻り』が発動したということは、ペニスーツマンの攻撃でスバルが命を落としたという事実の証明である。
 宇宙の彼方まで追放しても尚、ペニスーツマンを倒しきることは出来なかった。
 絶望的な状況に辟易としながらも、スバルは隣で安らかに寝息を立てる銀髪の少女を見て決意する。
「俺は絶対に諦めねぇ……! アイツをブチのめして、エミリアと一緒に元の世界に帰るんだ……!」
 ナツキ・スバルの○○回目のループが始まる。